南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
チーム内の不協和音をついに一掃!!
スペインは「進むべき道」を邁進中。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byGetty Images
posted2010/06/10 10:30
前回のドイツW杯ではベスト16止まりだったスペイン代表。過去のW杯での戦績は1950年の4位が最高である
スペインの生命線であるパスワークは確実に向上中。
アジアのチーム相手に楽勝とはいえない内容だったオーストリアでの2試合だが、1戦目よりも2戦目と、確実に選手たちはコンディションを上げ、連係プレーの精度を高めてきている。
デルボスケ監督は韓国戦後に「我々はこの合宿でやるべきことをやり終えた」と本大会に向けての準備が順調に進んでいることを示した。
いずれの試合も派手な大勝というわけではなかったが、チームがその生命線であるパスワーク向上のためにやるべきことを見失っていなかったことも示すことができた。韓国の守備を前にゴールラッシュがなかったことについて聞かれたデルボスケ監督はこう語っている。
「守備を固めた相手を崩してスペースを手にするには、2つの方法がある。まずは粘り強くボールを動かし、敵を揺さぶること。もうひとつは個人技で敵を揺さぶることだ。この2つのテストマッチでは、チームとしてボールを動かすことを決して忘れず、その中で個人の力を発揮する場面を見極めるということを選手たちはしっかりと行っていた。私たちは進むべき道を進んでいる」
スペインは10日に南アフリカへと出発する。
16日にあるスイスとの初戦では、パスワークのスピードと精度はさらに増していることだろう。そして、選手個々のコンディションもより一層整っているはずだ。
初戦から流れるようなパスワークで敵を圧倒する試合ができるかどうかはまだ分からない。だが、スペインは今大会で間違いなく他国を圧倒するほどの高度な技術と戦術、そして選手個人の強さを示すだろうと信じている。