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<日本ハムを牽引する安打製造機> 稲葉篤紀 「40歳の“聞く力”」
text by
永谷脩Osamu Nagatani
photograph byShigeyoshi Ohi
posted2012/10/02 06:01
「今年で終わるかもしれない」と覚悟を決めて臨んだ。
だが早々と大記録を達成、今も3割前後の打率を保つ。
復活劇の裏にはオフの統一球の対策や独自の体調管理術、
そして、人に助言を求める事を厭わず、それを自らの
“引き出し”として活用する、ベテランの知恵があった。
だが早々と大記録を達成、今も3割前後の打率を保つ。
復活劇の裏にはオフの統一球の対策や独自の体調管理術、
そして、人に助言を求める事を厭わず、それを自らの
“引き出し”として活用する、ベテランの知恵があった。
稲葉篤紀は、プロ入り18年目の開幕を特別な思いで迎えていた。
「年も40になりますし、正直言って自分には後がない。今年で終わりかもしれない。それぐらいの覚悟を持ってシーズンに臨みました」
2000本安打まであと34本に迫っていたが、昨季の打率は2割6分2厘。自身過去最低の数字だった。
「今年も同じような成績だったらチームに迷惑をかけてしまう。2000本という節目の年でもありましたし、もしそれを達成して、成績が落ちたりすると、みんなに『稲葉、お疲れさん』みたいな感じで見られてしまうでしょう。だから、悔いの残らないような1年を送ろうと思ったんです」
人知れずそんな決意を抱き、キャンプで黙々とトレーニングを積んでいた稲葉に、栗山英樹新監督は、「開幕は2番で行く」と伝えた。ヤクルト時代も含め、ほとんど経験したことのない打順だった。
「バントで送ったり、足が速くて小細工もできる。それが2番打者のイメージだったんですが、監督にはこう言われました。『小細工は必要ない。思い切って、好きなように、稲葉らしくやってくれ』と。それですごく気持ちが楽になったんです」