荒っぽいフランクフルトファンとの相思相愛を深めて。

　まだ日本人として誰も成し遂げていない4試合連続ゴールの期待もかかるのだが、それに対しては、殊勝に答えている。

「そこはあまり意識していないので。とりあえずはチームのために走るということを本当に心がけてやってます」

　実際、この日はチームトップタイの11.71キロを走りきった。

「最後まで出たので、決勝点を入れたかったです。まぁ、でも、チームとしてここで負けなかったというのは一つ、大きいのかなと思います」

　試合後、ドイツ人記者団と日本人記者団の取材を受けた乾がロッカールームに戻ろうとすると、ブンデスリーガの全試合を放映するCS放送のSKYのスタッフが声をかけた。

　カメラに向かって、ドイツ語で何か言ってもらえませんか、と。乾がそれに答えた。

「Ich liebe Frankfurt」

“フランクフルトを愛しています”。

「ファンから愛される選手への道を歩んでいる」乾もまた、フランクフルトを愛している。相思相愛の関係はこれから深まっていく。

　フランクフルトのファンは、元来、荒っぽいことで有名だ（こちらのコラムを参照）。乾は、そんなファンの期待に応えるかのようにピッチ上で暴れ続けている。