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鉄壁守備でアーセナルが優勝候補?
失点が激減した裏に新助監督の存在。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/09/26 10:30

鉄壁守備でアーセナルが優勝候補?失点が激減した裏に新助監督の存在。<Number Web> photograph by Getty Images

アウェイでの第5節マンC戦で、劇的な同点ゴールを決めたコシェルニーのもとに集まるアーセナルの選手たち。ベルメーレンが急遽病欠となった同ゲームでも、マンCの攻撃を1点に抑えた。

 日本を離れて何年経っても、やはり日本人なのだと思う瞬間がある。その1つが、非難を浴びるアーセン・ベンゲルに同情心を抱く時。アーセナル・ファンではない筆者だが、16年前にJリーグからやって来た指揮官には、日本からプレミアリーグへの「輸出第1号」として思い入れがある。

 不名誉な無冠が7年連続となった昨季、イングランドのメディアは、攻撃的スタイルにこだわり、弱点とされるGK、CB、守備的MFの補強に消極的なベンゲルに対し、「盲目」や「意固地」という言葉を用いた。マンチェスター・ユナイテッドに大敗(2-8)した昨年8月のリーグ戦後、「さようならアーセン」という新聞の見出しは、見るに忍びなかった。

 ところが今季は、ベンゲルを讃える報道を密かに嬉しく思い、日本人を実感する瞬間が増えている。

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 開幕からスコアレスドローが続いた時点では、ロビン・ファンペルシ移籍もあり、新CFのオリビエ・ジルーらにチャンスは訪れていたものの、メディアは「連続無得点」に目をつけた。しかし、第3節リバプール戦(2-0)で、同じく新戦力のルーカス・ポドルスキとサンティ・カソルラがゴールを決めると、にわかに「連続無失点」が注目されるようになった。

守備力復活の影に“フェイマス・フォー”の助力が。

 アーセナルの守備力が評価されたシーズンとなると、ゴール前にはデイビッド・シーマン、最終ラインの中央にはトニー・アダムズが健在だった今世紀初頭にまで遡らなければならない。

 現在はテレビ解説者のアダムズいわく、「常に得点を予感させるが、失点も常に覚悟させられるチーム」が、ここ数年来のアーセナルだった。そのチームが、今季開幕から丁度1カ月に当たる、アウェイでのCLモンペリエ戦(2-1)までの5試合を2失点で終えた。昨季の1カ月目は、CL予選を含む8試合で16失点だったのだから、その変貌ぶりに、メディアが「鉄壁の守りの再現か?」と騒ぎ始めても無理はない。

 その陰の功労者と見られているのが、この夏、ユース担当から1軍助監督に昇格したスティーブ・ボールドだ。現役時代、アダムズとコンビを組んだボールドは、完璧な連動で零封を重ね、“フェイマス・フォー”と崇められた4バックの一員である。

【次ページ】 ボールドの指導で最終ラインは「明らかに変わった」。

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