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大舞台での自己ベスト。
~五輪で真価を発揮した選手たち~
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byNaoki Ogura /JMPA
posted2012/09/20 06:01
ロンドン五輪では、陸上男子100mと男子4×100mリレーに出場した、慶応義塾大学2年の山縣亮太(20歳)。準決勝3組では、10秒10の6位となり、惜しくも決勝進出を逃した。
ロンドン五輪では日本が史上最多となる38個のメダルを獲得したが、ロンドンで「自己ベスト」を出した選手は、実はそれほど多くなかった。陸上競技、水泳、重量挙げといった記録で順位の決まる競技で、日本は13個のメダルを獲っている。
だがその中で、選手が自己ベストを出して獲ったメダルは、次の4個だけだった。
◇水泳
萩野公介 400m個人メドレー 銅
寺川綾 100m背泳ぎ 銅
鈴木聡美 200m平泳ぎ 銀
◇重量挙げ
三宅宏実 48kg級 銀
水泳では女子400mメドレーリレーも日本記録を出しての銅メダルだったから、これも含めれば5個になる。逆から見れば、それ以外のメダルは、自己ベストを出さなくてもメダルが獲れるくらい選手のレベルが高かったということだ。二つの個人メダルを獲得した背泳ぎの入江陵介は2種目とも自己ベストを破ることはできなかったが、100mで銅、200mでは銀だった。五輪でメダルを獲るというのは、基本的にはこのように「自己ベストに届かなくても世界の3位以内には入れる」というくらいの地力の高さが必要になる。