濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ケージに遮られたリベンジ――。
マッハ敗戦が日本に突きつけたもの。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2010/06/07 10:30
ケージを背に反転することができず、ニック・ディアス(写真右)に腕ひしぎ十字固めを決められる桜井“マッハ”速人
打ち砕かれた幻想。そして現実だけが残った。
「相手の土俵でやるもんじゃなかった。UFCじゃあるまいし」
そう語ったマッハは、ディアスと同時にケージに、つまりは“北米MMA”に負けたのである。
青木の負けをマッハが“チャラ”にするというストーリーは実現しなかった。「リングだろうとケージだろうと、強い奴は強い」という幻想はケージの熟練工たるディアスに打ち砕かれた。残されたのは現実だ。選手はもちろんファンも関係者も、徹頭徹尾リアリズムが支配する世界で生きなければならなくなった。
北米という強大な敵にどう立ち向かっていくか。世界の格闘技シーンで存在感を示すためには何をすればいいのか。青木の敗戦で日本の選手とファン、関係者に投げかけられたテーマは、『DREAM.14』でさらに切実なものとなったのである。