後半途中から効果的な攻撃パターンも見られたが……。

　3点をリードしたドイツは後半、守備ブロックをより強固に敷き詰めていこうとするが、徐々に疲れが見え始めてくる。

　日本はハーフタイムに「前線からのファーストディフェンスをしっかりやろう」「サイドバックが上がってチャンスを作ろう」と選手同士で確認し合いながら後半を迎えた。そして、次第に効果的な攻撃を仕掛けるようになっていく。

　なかでも効果を見せたのは、ピッチの中で選手同士が話し合いながらポジションを変えていくことだった。

　トップ下の柴田華絵（浦和レッズレディース）が下がり目の位置を取り、ボランチの猶本が高い位置へ。すると後半7分には、柴田、猶本、横山久美（岡山湯郷）が左サイドの深い位置へパスをつないでいき、横山がゴール前にクロスを上げる。

　試合開始時の1トップの位置から、後半は右サイドへとポジションを移していた西川明花（FC高梁吉備国際大学）がクロスに合わせてゴール前へ侵入。西川のシュートは惜しくも決まらなかったが、これは、日本がこの大会期間中にも取り組んできた「クロスに合わせての得点」という形が見えた場面だった。

「ドイツは身体能力だけではなく、組織力もあった」

　ただ、それでもドイツの守りはなかなか崩れない。

　日本は後半16分、今大会5得点の田中陽を下げて、身長170cmのFW道上彩花（常盤木学園高校）を入れるなど、あきらめずに1点を取りにいったが、ゴールは遠かった。

　結果的には0－3というスコアでの敗戦で、決勝進出はならなかった。けれども、このドイツ戦で学んだことは多かったはずだ。

「前半の立ち上がりが大きかった。ドイツは身体能力だけではなく、組織力もあった。しんどいときに球際が強かったし、そういうところで学ばせてもらった」と浜田遥（スペランツァ高槻）は言う。西川は、「ドイツは一歩目が速くて、いつもなら追いつけるところでも追いつけなかった。そこが違った」と、単純にスピードが速いという以上のことを体感した。

　決勝には行けなかったが、8日には3位決定戦（東京・国立競技場、15時30分）がある。対戦相手はナイジェリア。ドイツと同じく、フィジカルの強いチームだ。

　今回のチームとしてプレーするのはこれが最後になる。

「最後だから勝ちたいという気持ちはあるし、勝つしかないので、楽しみながらやっていきたい」と猶本は言葉に力を込めた。ドイツ戦終了後は、文字通り涙に暮れていたヤングなでしこたちだが、その涙が乾いていくのは早かった。目指すものは先にある。下を向いている時間はないのだ。