ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
サッカー銅メダルを巡り日韓対決へ。
“絶対に負けられない”韓国側の事情。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byYonhap/AFLO
posted2012/08/09 13:35
ホン・ミョンボ監督と韓国の選手たち。ライバル日本との対戦、かつ兵役免除がかかる一戦であり、3位決定戦への思いは極めて強い。関塚ジャパンは、彼らの“覚悟”にひるまず戦うことができるか。
監督、スタッフ含め、韓国には多数の「J経験者」。
ホン・ミョンボ率いる韓国オリンピック代表は過去にも、徴兵問題と関連して日本とのちょっとした因縁があった。
2010年の広州アジア大会。ここでも優勝すれば徴兵免除が受けられるチャンスがあった。韓国は海外組を動員してまで、優勝を狙いにいった。しかし、準決勝のUAE戦、延長戦の終了間際に決勝点を奪われ敗れてしまう。ホン・ミョンボ監督は自らの采配を詫びた。
PK戦を想定して、GKを交代させた矢先にゴールを決められたのだ。結局、大会の優勝チームは、Jリーグでも当時試合に出ていなかったメンバーを中心とした関塚ジャパンだった。
この点のみならず、チームは日本との縁が強い。
監督を含めたコーチングスタッフに、Jリーグ経験者が3人いる。監督のホン・ミョンボ(元・平塚、柏)、コーチのパク・ゴナ(元・柏)、そして、浦和でアドバイザーを務めるフィジカルコーチの池田誠剛。池田は'09年から元々縁のあったホンの下で韓国のこの世代を指導している。韓国人選手の印象について、こんな話をしている。
「日本人選手にない、体の強さがある。厳しいトレーニングに耐えるメンタルを持っている上に、食事と休息の意識が徹底していますから。この強さを失わないようにしつつ、同時に合理的な指導を施すことを考えてきた」
キム・ボギョンは、セレッソ大阪で清武弘嗣の元チームメイト。
4-4-1-1をベースに戦うチームにも、日本を知る選手が多い。CBのレギュラー格、ファン・ソッコ(広島)に、攻撃のかき回し役ぺク・ソンドン(磐田)。サブには京都のボランチ、チョン・ウヨンも控える。もうひとりのCB、キム・ヨングォン(広州/中国)はつい先日まで大宮でプレーしていた。同じくカーディフへの移籍が発表されたばかりのキム・ボギョンは、セレッソ大阪で清武弘嗣らとチームメイトだった。
本大会ではここまで、山あり谷ありの戦いを続けている。
グループリーグ初戦のメキシコ戦は優位に立ちながらも、決勝ゴールが奪えずスコアレスドロー。第2戦のスイス戦では不調も囁かれたオーバーエイジ、パク・チュヨン(アーセナル)がゴールを決め、2-1の勝利。第3戦、アフリカの初出場国ガボンに勝てば1位通過も可能だったが、まさかのスコアレスドローに終わった。1位なら、大会前の親善試合で3-0と圧勝したセネガルと準々決勝で対戦できたが……結果、開催国英国と顔を合わせることになった。