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サッカー銅メダルを巡り日韓対決へ。
“絶対に負けられない”韓国側の事情。 

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吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byYonhap/AFLO

posted2012/08/09 13:35

サッカー銅メダルを巡り日韓対決へ。“絶対に負けられない”韓国側の事情。<Number Web> photograph by Yonhap/AFLO

ホン・ミョンボ監督と韓国の選手たち。ライバル日本との対戦、かつ兵役免除がかかる一戦であり、3位決定戦への思いは極めて強い。関塚ジャパンは、彼らの“覚悟”にひるまず戦うことができるか。

ホン・ミョンボは、日本戦に備えブラジル戦を捨てた!?

 この厳しい戦いでは、プレミアリーグでプレーする長身FWチ・ドンウォン(サンダーランド)が活躍。左足で先制ゴールを決め、1-1からPK戦で勝ちを拾うゲームに貢献した。いっぽう、このゲームでは熱戦の代償としてオーバーエイジのGKチョン・ソンリョンと右SBキム・チャンスが負傷退場する痛手を負っている。

 準決勝のブラジル戦では、0-3と完敗。しかし、むしろ圧倒的な力を見せつけられた点が“開き直り”につながっている。試合後、韓国の国内メディア『プレッシアン』は、「冷静な勝負師ホン・ミョンボ、ブラジル戦を捨て日本戦の準備」との見出しを打った。主力のク・ジャチョル、パク・チュヨンらを休ませながら試合を戦った、と。

好不調の波が読めないのが逆に不気味なパク・チュヨン。

 日本としては、「Jリーグ組」のほか、前線のチ・ドンウォン、パク・チュヨンにケアが必要だ。チ・ドンウォンは大会前半はサブメンバーながら、準々決勝の英国戦で初先発。先制ゴールを決めた。10代でフル代表入りし、2011年のアジアカップに出場するなど元々実績のある選手だが、徐々に調子を上げている点は要警戒だ。大型ながら柔軟な技術も持つ。

 パク・チュヨンは、好不調の波が読めない点が逆に不気味だ。オーバーエイジとしてチームに参加しながら、調子が上がらずメディアにも叩かれた。しかし第2戦のスイス戦では突如覚醒し、ゴールを決めた。大会前、日本の甲府で個人トレーニングを積み、日本選手に慣れている点も不気味な点だ。いっぽうで試合にはもうひとつ、韓国メディアが注目するポイントがある。韓国の兵役免除は「1秒でも試合に出場した選手」に課されるが、メンバーでたった一人、未出場の選手がいる。背番号5のCB、キム・ギヒ。彼が起用されるかどうかも、気になるところだ。

ホン・ミョンボが語った「日本の選手をリスペクトしろ」の意味。

 世界の舞台で行われる日韓戦――。様々な感情が交錯するゲームになるだろう。

 韓国フィジカルコーチの池田は以前、ある出来事が忘れられないと話していた。今からちょうど3年前の'09年8月、ホン・ミョンボ率いる韓国U-20代表が国内のユーストーナメント決勝戦で日本U-20代表と対戦した。

 ホンは、試合前、ロッカールームで選手たちにこんな声をかけたという。

「まずは、日本の選手をリスペクトしろ。彼らは我々を育ててくれた。小さい頃から何度も韓日戦をやってきたよな? その中で『絶対に負けない』という気持ちをどれだけ育ててくれたか。考えてみろ」

 韓国は、“負けの許されない”ゲームで、どんなプレーを見せてくるのだろうか。

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