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頼れるエース・木村沙織が大爆発!
女子バレーが24年ぶりに準決勝進出。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2012/08/08 12:20

頼れるエース・木村沙織が大爆発!女子バレーが24年ぶりに準決勝進出。<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

「予想以上にすごい試合になりました。(中略)次の試合はメダルをかけた戦いができるので、いい準備をして、全て出し切れるように頑張りたい」と試合後にコメントした木村。

「17番をサーブで狙い、スパイクが少なくなるようにした」

 中国は北京五輪銅メダルの強豪。2010年世界選手権、'11年ワールドカップともに日本は敗れている。日本戦に絶対的な自信を持つ中国を相手に、この準々決勝はどのセットも一時は追う展開になる苦しい試合だった。第5セットは相手に先に二度マッチポイントを握られた。それでも粘りに粘って、最後に勝利を手にすることができた要因の一つはサーブだ。

 木村は、「自分たちがしっかりサーブで攻めることができていたし、狙い通りに崩せていました」と勝因を語った。

「相手の17番とミドルブロッカーのからみの攻撃を気持ちよくやられることが一番嫌だったので、17番をサーブで狙って、スパイクの打数が少なくなるようにした」と木村が語るように、機動力のあるウイングスパイカーの17番チョウ・ライをサーブで狙って動きを封じ、相手を単調な攻撃にしたことが、日本の粘り強いディグ(スパイクレシーブ)と、中国を上回るブロック本数につながった。

中国を徹底的に分析し、イメージトレーニングを繰り返していた日本。

 しびれを切らした中国のユ・ジュエミン監督は、第4セットの途中、17番に代えて攻撃力のある12番ソウ・シュンライを投入したのだが、これも日本チームの想定内だった。日本はサーブの狙いをソウ・シュンライに絞った。

 この試合に臨むにあたり、スタッフは昨年のワールドカップや今年4月に行った中国遠征の映像の中から、中国チームのサーブレシーブが崩れるシーンを集めて選手に見せ、「こういうサーブなら相手が崩れる」というイメージを植え付けた。ソウ・シュンライは、正面にくる強いサーブよりも、前後左右に揺さぶるサーブに弱い。選手たちの頭には共通のイメージがインプットされていた。

 デュースにもつれこんだ第5セット。16-16の場面でピンチサーバーとしてコートに入った中道瞳は極限のプレッシャーがかかる中、イメージ通りにソウ・シュンライの前に落ちるサーブで崩し、荒木絵里香がダイレクトスパイクを決めて17-16と逆転。そして最後は再びソウ・シュンライを揺さぶってサービスエースを奪い、激戦に終止符を打った。

 緻密なデータとアイデアでバックアップするスタッフと、それを最大限に活かす選手の集中力と技術。まさにチームの総合力が、28年ぶりの五輪メダルへの扉を開いたのだった。

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