ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
雰囲気は最高だった開会式だが……。
入場行進だけで2時間は今後の課題?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/07/28 15:20
行進前の選手団がどのような状態で待機できるのか詳細は不明だが、少なくともアフガニスタン選手団は2時間という長時間、会場中央で立ったまま待っていたことになる。
開会式が終わると時計の針はすでに12時を越えていた。
開会式を迎えるまでのロンドン市民は、なでしこジャパンの白星発進と男子サッカーのスペイン撃破で、ボージョレヌーボー解禁がごとく「時差開幕」していた日本と対照的に、クールな姿勢を保っていた。
組織委員会も、北京五輪のようにロケット弾を打ち上げて天気を変えることはなく、開会式前には天気予報通り雨が降った。
家々にカナダ国旗が掲げられていたバンクーバー五輪とも違い、ユニオンジャックの大群を見るのはイベント関連の場所だけだった。
2016年五輪招致で東京が負けた最大の理由が「都民の関心の低さ」だったことを思えば、「なぜロンドンはOKなのだ!?」と首をかしげたくなるような開幕前だったのだ。だが……。
注目された聖火リレーは、ベッカム、5大会連続金メダリストのイギリス人スティーブ・レッドグレーブ氏の手を経て、最後は7人の10代選手で花びら型のトーチに火が灯された。ここでスタジアムの盛り上がりは最高潮に達した。
開会式が終わると時計の針はすでに12時を越えて日付が変わっていたが、人々は多少疲れているものの、多くの人が満足そうな顔を見せていたのも事実である。
さあ、本番はこれからだ。
ロンドン五輪は熱くなるか、否か。
開会式の演出でプライドをくすぐられたイギリス人がどう変化していくか。この先をじっくりと見ることにしよう。