ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
雰囲気は最高だった開会式だが……。
入場行進だけで2時間は今後の課題?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/07/28 15:20
行進前の選手団がどのような状態で待機できるのか詳細は不明だが、少なくともアフガニスタン選手団は2時間という長時間、会場中央で立ったまま待っていたことになる。
ジェームス・ボンド役の俳優ダニエル・クレイグとエリザベス女王が、映画『007』さながらの演出で五輪スタジアムに登場したかと思うと、『Mr.ビーン』のローワン・アトキンソンが一世を風靡した20年前と変わらないコミカルなパフォーマンスを披露し、会場を笑わせた。
2012年7月27日夜9時(日本時間28日午前5時)から、ロンドン市東部にある五輪スタジアムでロンドン五輪開会式が始まった。
ロンドンでの五輪開催は1908年と1948年に続いて3度目で、史上最多だ。今回は204の国と地域から約1万500人の選手が集まり、8月12日までの17日間の日程で26競技302種目が行われる。
開会式に集まった8万人の観衆は、お祭りムードと厳粛な雰囲気の両方を味わっているといった様子で席に着き、思い思いにセレモニーを見つめていた。
田園風景から産業革命、そして輝くファンタジーの世界へ。
入場行進に先立って行われた、イギリス近代化の歴史や現代文化を紹介するアトラクションは、圧巻のひと言だった。
演出を担当したのは映画『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー監督賞を受賞したダニー・ボイル氏。
芝生と小さな丘を配したセットの中、のどかな田園風景一色だったイギリスが、産業革命で世界に大きな影響を与えていったことを表現。空中に浮かんだ巨大な五輪マークから火花が飛び散るように見せた演出では、客席が大いに沸いた。
近代化の流れが終わると、今度はファンタジーの世界が繰り広げられた。
小説も映画も世界的大ヒットとなった『ハリー・ポッター』の作者、J・K・ローリングが、『ピーターパン』の一節を朗読した。『Mr.ビーン』のアトキンソンは映画『炎のランナー』をもじった映像にも登場し、スポーツのすばらしさや感動をユーモアを交えて示した。
おとぎ話のセクションの後は、ミュージックセクション。ビートルズやデビッド・ボウイ、クイーンらの音楽が流れ、パフォーマーたちがそれに合わせてダンスした。
このタイミングで流された映像が、デビッド・ベッカムだ。