ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
雰囲気は最高だった開会式だが……。
入場行進だけで2時間は今後の課題?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2012/07/28 15:20
行進前の選手団がどのような状態で待機できるのか詳細は不明だが、少なくともアフガニスタン選手団は2時間という長時間、会場中央で立ったまま待っていたことになる。
ビートルズもベッカムも良いのだけれど……。
ロンドン市内中心部を流れるテムズ川を走るモーターボートにベッカムが聖火とともに乗っており、五輪スタジアムに向かっていた。前々から噂されていた通りのベッカム登場に、またしてもスタンドが沸いた。
ハリー・ポッターにしてもビートルズやベッカムにしても、とにかく言えるのは、もはや説明する必要がないほど、全世界に知られている存在であるということだ。これは大きな強みである。
さて、この時点で開会式はすでに始まってから1時間20分が経過していたが、ここまではリズム感良く、あっという間に時間が過ぎていった感があった。良質のエンターテインメントの中には、愛や平和といったメッセージも、出過ぎない形でうまく表現されていた。
ところが問題はこの後だ。毎度のことだが、入場行進に要する時間がとにかく長すぎる! 当然、選手への負担は大きい。
ただただ待ち続けることになる、2時間という長丁場の入場行進。
行進は五輪発祥の地、ギリシャを先頭に、以下はアルファベット順にアフガニスタンから進んでいった。「J」の日本は全体の真ん中あたりの95番目に登場した。
今回は2020年東京五輪招致をにらみ、1964年の東京五輪への原点回帰の意味を込めて、当時と同じ赤と白の公式ウエアで役員32人と選手44人の計76人が参加した。開会式の出席人数は、IOCが時間短縮の目的で人数制限を行ったため、北京五輪のときの約3分の1である。
けれども、204番目の開催国イギリスが出てきたときにはすでにアフガニスタンの入場から約2時間がたっていた。
舞い落ちてきた紙吹雪は美しかったが……入場してから会場内で待ち続ける選手たちも、行進の出番を待つ選手たちも、心身ともに大きな負担があったことは間違いないだろう。
観客の負担を言っているのではない。これだけの負担を試合直前の選手たちに強いる入場行進は、もはや何かしらの抜本的工夫が必要なのかもしれない。