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ニューヨーカーはどう感じたのか?
イチロー、電撃トレードの○と×。
text by
渡辺史敏Fumitoshi Watanabe
photograph byGetty Images
posted2012/07/26 12:40
全米中から取材依頼が殺到しているイチロー。ヤンキースタジアムでの初お目見えは、現地時間で27日(金)の夜(日本時間で28日土曜日の朝)になる予定。
23日、電撃的に行われたイチロー選手のトレードは移籍先ヤンキースの地元ニューヨークでも”ショッキング”なニュースとして大々的に扱われることとなった。
例えば地元大衆紙ニューヨーク・ポストとデイリー・ニューズはいずれも裏1面の全てを使い、イチローの獲得とさらに移籍当日のゲームでいきなりヒットを打ったことを伝えている。
しかもヒットを放つイチローの大きな写真につけられた見出しは「君のハートをくすぐる」(デイリー・ニューズ)、「ヒッ・チロー!」(ニューヨーク・ポスト)というものだった。「くすぐる」は英語「ICH」で、いずれもイチローの名前をかけたものとなっている。
また、デイリー・ニューズは1面の一部でもイチローの写真と「ヤンクスがイチローを盗む」という見出しを載せた。いずれもイチローの獲得をポジティブに捉えてることがわかる。
ワールドシリーズ制覇の目標が、イチローとヤンキースを牽引!
デイリー・ニューズは「タイトルへの渇望がブロンクスを引っ張る」という記事で、10回のオールスター選出などこれまでイチローが挙げてきた成績とともに、どれほど非凡な選手であったかを紹介している。そして、28回目のワールドシリーズ制覇を目指すヤンキースにとってイチローのワールドシリーズへのモチベーションが大きな戦力になるだろうことを示唆した。
これは老舗紙ニューヨーク・タイムズも同じで「ヤンキースがマリナーズからスズキをゲット:長年のスターが新しいスタートを切り、彼の新しいチームはギャップを埋める」という記事を掲載して、イチローとスピードのある選手を必要としていたヤンキースの双方にとって、実りのあるトレードになったとやはり前向きな見方を示した。
さらにニューヨーク・ポストはコラムニスト、ケビン・カーナン氏が「うまく歳を重ねた:イチローはヤンクスをより高齢化するが--―たぶんさらに良くなるだろう」と題したコラムを寄稿。10月に39歳になるイチローの加入によって先月38歳になったデレク・ジーターなど元々ベテランの多いヤンキースの平均年齢がさらに上がることになるがチームにとってはプラスになるだろうとした。
が、これらのメディアが全面的にイチロー獲得を支持しているかというと、そういうわけではない。