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新人王候補にとって鬼門の8月――。
先達が語る“夏場の乗り切り方”とは? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/07/23 12:45

新人王候補にとって鬼門の8月――。先達が語る“夏場の乗り切り方”とは?<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

前半戦終了時点で15試合に登板し、7勝3敗、防御率1.41という安定した成績を残している野村祐輔(広島)。オールスターゲーム(第2戦)でも3回1安打無失点の好投を見せ、敢闘選手賞に選出。セ・リーグ新人王最有力候補と言われている。

 優勝に各種タイトル争い。後半戦がスタートすると刮目すべき要素は増えてくるが、新人王の行方にもそろそろ注目が集まってくる頃だろう。

 今季、ルーキーはもちろん、新人王の資格である「支配下登録されてから5年以内の選手で、一軍通算60打席以内の打者、投球回数30回以内の投手」の一人として、広島の3年目、堂林翔太を挙げる人間は多いだろう。一軍デビューを果たした今季は、打率は2割5分7厘ながら9本塁打と、十分すぎる働きを見せている。

 しかし、例年、打者から新人王が生まれる可能性は低い。「打率3割または20本塁打以上」という基本条件がその一因ではあるのだが、一般論として投手のほうが新人王になる確率は高いとされている。それは、「10勝」の当確ラインはあるものの、先発、中継ぎ、抑えと役割が多く、何らかの形で結果に恵まれる選手が多いからだ。

投手の奮闘目立つ、今シーズンの新人王候補たち。

 今季も投手のほうが打者よりも圧倒的に結果を残している。現時点で新人王のチャンスがある選手を挙げるとすれば、以下のようになるだろうか。

【セ・リーグ】
野村祐輔(広島)=15試合、7勝3敗、防御率1.41[2]
田島慎二(中日)=27試合、4勝0敗、15HP、防御率0.46

【パ・リーグ】
藤岡貴裕(ロッテ)=13試合、4勝5敗、防御率3.73
益田直也(ロッテ)=42試合、0勝1敗、25HP[1]、防御率2.36
森内壽春(日本ハム)=36試合、0勝0敗、8HP、防御率2.25
※成績は前半戦終了時点のもの。[ ]内の数字はリーグ順位

 その他にも、巨人の宮國椋丞(7試合、2勝1敗、防御率1.86)や楽天の釜田佳直(9試合、3勝1敗、防御率2.83)、ソフトバンクの武田翔太(2試合、2勝0敗、防御率0.00)も、後半戦の成績次第では新人王戦線に名乗りを上げてくるかもしれない。

 タイトルランキングの上位にいる野村や益田をはじめ、今季はルーキー投手たちの奮闘が目立つ。しかしだからといって、彼らが前半戦のパフォーマンスを後半戦でも持続できる保証はない。

【次ページ】 新人が悪循環に陥りやすい、8月の猛暑。

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