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<五輪シンデレラガール対談> 岩崎恭子×柴田亜衣 「五輪と、金メダルと、人生と」 

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photograph byMiki Fukano

posted2012/07/27 06:01

<五輪シンデレラガール対談> 岩崎恭子×柴田亜衣 「五輪と、金メダルと、人生と」<Number Web> photograph by Miki Fukano

「運も必要だけど、私すっごく練習した」(岩崎)

岩崎   なんで自分は金メダルを獲れたのかって考えたことある?

柴田   いろいろあるけど、一番初めに出てくる要素は運がよかったということだと思うんです。4年に1回のタイミングに合うのは、やっぱり運がいいとしか私には思えない。

岩崎   もちろん運もないと絶対獲れない。ただ、亜衣もそうだと思うんだけど、私すっごく練習した。これはすごく強く言いたい(笑)。その上で、ほかの要素がぜんぶベストな状態で迎えられると、金になるということだと思うけど。亜衣の田中孝夫先生も練習は厳しかったでしょ?

柴田   そうですね。でも、田中先生の練習をしていれば必ず速くなると信じてましたから。先生は「こうしろ、ああしろ」と細かいことは言わないんですけど、「心技体のうち、技と体はそんなに簡単に崩れない。でも、心はいつでも崩れる。柴田がアテネで金を獲れたのはそこが崩れなかったからだ」ということはおっしゃってました。

「君はもう1番じゃないんだよ」の一言で、解けたメダルの呪縛。

岩崎   でも、北京の前には、厳しいことを言われたんだよね?

Ai Shibata
1982年5月14日、福岡県生まれ。鹿屋体育大院修了。'04年アテネ五輪の女子800m自由形で金メダルを獲得。世界水泳では通算4個のメダルを獲得し、400m、1500m自由形の日本記録は現在も破られていない。現在は水泳教室での指導やスポーツ普及活動に取り組む。

柴田   私、400mと1500mではアテネの後、自己ベストを出していたのに、金メダルを獲った800mだけはベストが出なかったんです。それで、'07年の世界水泳の後、「今までのコーチ経験からいえば、800mでもベストが出るはずなのに理由が分からない。教えてくれ」って言われたんです。

岩崎   なんて答えたの?

柴田   「800mだけは、どうしても結果を求めてしまうんです」と答えました。そしたら「ほかの選手のベストタイムを見てみなさい。君はもう1番じゃないんだよ」って言われて。それで開き直れて、3年ぶりに800mでベストを出すことができたんです。

岩崎   それが心の問題ということなんだよね。たぶん田中先生には分かっていたんだと思う。でもあえて「理由が分からない」と言ったのは、亜衣に気持ちを吐き出させて、金メダルの呪縛を解いてあげようっていう狙いがあったんじゃない?

柴田   えー、そういうことだったのかあ。私、ぜんぜん気づかなかったです(笑)。

岩崎   そういう部分もコーチの腕の見せどころなのかも。ちょっと偉そうだけど。

【次ページ】 敬語を使わないどころか、機嫌が悪いとコーチを無視!?

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