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高橋尚成を輝かせている、
“あの”勝負球と大リーグとの相性。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2010/05/18 10:30

高橋尚成を輝かせている、“あの”勝負球と大リーグとの相性。<Number Web> photograph by Getty Images

初勝利を挙げたブレーブス戦後、自身のブログで「緊急登板でブルペンで1球しか投げれずにマウンドに行ったよ(>_<)マウンドに行ってから、15球くらい投げれたけどね(^o^)プロになって初体験!!アメリカでは、いろいろ起こるね(^o^)」と絵文字交じりの報告

滑りやすいメジャー球に適応できたことも有利に。

 高橋がシンカーを絶対的な勝負球にできたのは、偶然と必然が重なった結果だといえる。

 偶然とは、高橋が日本でもシンカーを持ち球にしていたということ。そして必然とは、日本球以上に変化球が曲がるメジャー球を使用することで、変化球に今まで以上のキレをもたらすことができたことだ。

 高橋はキャンプ中から変化球がより曲がることを口にしており、逆に曲がり過ぎて自分の思った場所に投げることに苦心していたほどだ。また日本球より表面が滑りやすいメジャー球にまったく違和感なく適応できたのも大きい。もし高橋が日本でシンカーを投げていなかったなら、メジャー球を使ってシンカーを習得するというのは至難の業だったはずだ。

勝負球となるシンカーのキレが高橋の生命線だ。

 実際のところ、絶対的な勝負球を得ると投手はより以上の力を発揮する。それを裏づけてくれるようなスポーツTV番組があった。

 その番組では開幕から5連勝を飾り、防護率も1点台という好投を続けるジャイアンツのバリー・ジトを取り上げていた。ジトといえば、2007年にメジャー屈指の大型契約でアスレチックスからジャイアンツに移籍したものの、この3年間は最高で11勝どまり。しかも毎年勝利数より敗戦数が上回ってきた。そのジトの変貌ぶりはメジャー最大の落差を誇るカーブが精度を増したためだと論じ、昨年と今シーズンのカーブの被打率を比較していた。それによると昨年は.168だったものが、なんと.026まで下がっている。まさにカーブがジトを復活させたわけだ。

 まだシーズンは1/3が終わったばかり。高橋にとって162試合という長期シーズンも初体験ならば、中継ぎという役割も初めてのことで、まだまだ何が起こるかわからない。

 とはいえ、シンカーの出来が高橋の投球のカギを握っていることことだけは間違いなさそうだ。

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