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新人王最右翼はダルじゃない!?
驚異の新人、弱冠20歳のM・トラウト。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2012/06/25 10:30

新人王最右翼はダルじゃない!?驚異の新人、弱冠20歳のM・トラウト。<Number Web> photograph by Getty Images

マイク・トラウト。1991年8月7日、ニュージャージー州生まれ。2011年7月8日、わずか19歳という若さでメジャーデビューを果たした。走攻守の三拍子が揃った選手で、右打者ながら、その足の速さはメジャーでも上位に位置すると言われている。

20歳の若者が低迷するエンゼルスにもたらした好影響。

 個人成績だけでなく、チームにもたらした影響力も半端ではない。

 元々トラウトはシーズン開幕の時点でマイナー・スタートだった。キャンプ中は故障のため、満足にオープン戦にも出場することができず、更には先発外野手枠がいっぱいだったため、首脳陣は3Aで経験を積ませるよう判断を下した。

 ジェリー・ディポトGMも「マイクがメジャー昇格するのは、チームの主力選手として活躍してもらうときだろう」と期待を寄せていた。

 だが、トラウトのメジャー昇格まで、時間はかからなかった。

 チームは極度の打撃不振で開幕から低迷。一方トラウトは、3Aで1番打者として打率.403、出塁率.467を記録する活躍を見せる。それを受け、チームに変化を求めたディポトGMは、4月27日にベテランのボビー・アブレイユ選手に戦力外通告。翌28日、ついにトラウトをメジャーへと昇格させた。

 その間、4月27日の時点でチームは6勝14敗と地区最下位に沈み、ライバルと目されていた地区首位のレンジャーズに9ゲーム差をつけられていた。

 だが、トラウトが1番打者に定着した途端、前述の成績を残す活躍でチームも着実に調子を上げていった。トラウト合流後のチーム成績は30勝17敗、しかもトラウトが得点を記録した試合に限ると17勝6敗の成績を残している(ともに6月17日現在)。

 順位も2位まで上がり、レンジャーズとのゲーム差も4まで縮めている。野球はチームスポーツではあるが、明らかにトラウトのチーム加入が大きな変化をもたらしたのは間違いない。

「やってほしいすべてのことをこなす完ぺきな選手だ」

「自分は1番打者として出塁することに誇りを持っている。自分の後ろにはアルバート(・プホルス)、トーリ(・ハンター)、トランボが控えている。もちろん彼らだって自分が得点圏にいる場面で打ちたいと思っているだろう」

 トラウトが指摘するように、トラウトの活躍が主軸打者の打撃不振をも改善してくれた。特に今年エンゼルスに移籍し、多大な期待を受けながらも不振が続いたプホルスのプレッシャーをかなり軽減したようだ。プホルスもここまでのトラウトの活躍には賞賛を送るばかりだ。

「彼はとにかく毎試合グラウンドで懸命のプレーを続けている。打球を追いかけ、盗塁し、四球を選び、バントもする。あなたがやってほしいすべてのことをこなす完ぺきな選手だ。驚きの一言だよ」

【次ページ】 わずか1年で控え選手からチームの主力へと急成長。

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#ロサンゼルス・エンゼルス

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