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新人王最右翼はダルじゃない!?
驚異の新人、弱冠20歳のM・トラウト。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/06/25 10:30
マイク・トラウト。1991年8月7日、ニュージャージー州生まれ。2011年7月8日、わずか19歳という若さでメジャーデビューを果たした。走攻守の三拍子が揃った選手で、右打者ながら、その足の速さはメジャーでも上位に位置すると言われている。
MLB、シーズン前半戦も残り1カ月を切った。
日本で常にメジャー関連の話題の中心にいるのはダルビッシュ有投手だ。6月に入り勝ち星から遠ざかっていたが、15日のアストロズ戦で8回2失点11奪三振の好投を演じ、今季8勝目を挙げた。現在も新人ながら最多勝争いを続け、ファンの期待を裏切らない活躍を続けている。
そんなダルビッシュについて、日本では「新人王の有力候補であり、十分にサイヤング賞も狙える」というニュアンスの報道を目にする。
だが、アメリカで地元のメジャー記者といろいろ意見交換していると、もし仮に現時点でシーズンが終了したとすると、ダルビッシュが新人王を獲ることはまずない、という意見が圧倒的なのである。
ダルビッシュをも凌駕する脅威の新人マイク・トラウト。
というのも、ダルビッシュの活躍すらかすんでしまう、そんな衝撃を与えている選手が存在するからだ。それが弱冠20歳、エンゼルスの外野手、マイク・トラウト選手だ。
まず印象的なのはその年齢。現在、メジャーに在籍する選手の中で、ナショナルズのブライス・ハーパーの19歳に次ぐ若さだ。
2009年に高校からエンゼルスにドラフト1位指名で入団すると、昨年はMLB公式サイトでスーパー新人と話題となったハーパーを抑えて、最も期待される有望若手選手の第1位に選ばれた。そして、プロわずか3年目の19歳でメジャー初昇格を果たしている。
ここまでの個人成績も驚異的だ。
6月17日現在、新人選手の打撃部門で打率(.324)、マルチヒット数(19)、得点(35)、三塁打(3)、盗塁(16)、四球(17)、出塁率(.382)、長打率(.516)、長打数(20)─―が1位にランクインしている。
さらに本塁打(6)、打点(27)、安打数(59)、二塁打(11)─―も2位に名を連ねている。ほぼ全部門で上位を独占している状況だ。しかも、5月の月間新人王を獲得したのみならず、今月は新人ながら週間最優秀選手に選出されてもいる。