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新人王最右翼はダルじゃない!?
驚異の新人、弱冠20歳のM・トラウト。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/06/25 10:30
マイク・トラウト。1991年8月7日、ニュージャージー州生まれ。2011年7月8日、わずか19歳という若さでメジャーデビューを果たした。走攻守の三拍子が揃った選手で、右打者ながら、その足の速さはメジャーでも上位に位置すると言われている。
わずか1年で控え選手からチームの主力へと急成長。
トラウトの昨シーズンは控え選手として出場機会にも恵まれず、わずか40試合に出場し、打率.220に留まっていた。マイク・ソーシア監督も彼の急成長に目を細める。
「昨年とは比較にならないほど成長している。私が今まで見てきた選手の中で、最も打撃技術の高い20歳なのではないか」
6月18日に発表されたオールスター・ファン投票の結果、エンゼルスの選手が誰1人上位にランクしておらず、多くのメディアはトラウトの推薦枠での出場の可能性を報じているが、あながち夢物語ではないだろう。
ここまでのトラウトの活躍は、2010年にシーズン途中でメジャーに昇格し、即主軸打者として、チームをワールドシリーズ制覇へと導いたジャイアンツのバスター・ポージー選手にとても類似している。だが、当時のポージーは大学からプロ入りした23歳。それだけに、現在20歳というトラウトの存在がさらに際立ってくる。20歳にして驚異的な成績を残すとともに、1番打者として不振のチームを浮上させた影響力は大きい。
ア・リーグ新人王レースの勝者はトラウトで決まり!?
これを受け、改めて新人王争いを考えると、ダルビッシュは日本のプロを経験しており、しかも先発投手なので5試合に1回しか出場できないという状況。やはり、現時点でトラウトに太刀打ちできる術はないだろう。
だが、好調を続けていたトラウトも、先週あたりからその勢いに陰りが見え始めている。それは一過性のものなのか、それとも不振への入り口なのか、その判断をするにはまだ早急すぎる。
いずれにせよ今シーズンのア・リーグ新人王争いは面白いものになりそうだ。日本のファンはダルビッシュの成績ばかりに目を奪われずに、トラウトの活躍にも注視していくべきだろう。