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陸上の五輪代表も“名”より“実”。
選考会での成績を重視する理由とは?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTetsuhiro Sugimoto/AFLO
posted2012/06/19 10:30
記者会見に臨む五輪陸上代表。左から短距離の江里口匡史、髙瀬慧、福島千里、やり投のディーン元気、長距離の吉川美香、短距離の金丸祐三。今回の代表にはディーンら8名の大学生がメンバー入りし、世代交代を印象付けた。
伸び盛りの若い世代が揃ってロンドン五輪の大舞台に。
日本陸上競技連盟の高野進強化委員長も、選考の意図をこう説明した。
「たとえA標準記録を持っていたとしても優勝すれば決まるという日本選手権で優勝できなかったのは、活躍を期待するにはあまりに心細い結果だと考えた。B標準突破の選手が日本選手権で優勝したということは、ピークを合わせたということであり、本大会でもしっかりと活躍してくれるだろうと高く評価しました」
代表の顔ぶれを眺めてみると、やり投で村上幸史との好勝負を制したディーン元気、400mハードルで自己記録をマークして優勝した岸本鷹幸、200mで2位となった飯塚翔太ら若い選手が、日本選手権という重圧のかかる場で成長した姿を見せ、名を連ねた。
一時期、2003年の世界選手権200mで銅メダルを獲得した末続慎吾の同世代の選手が台頭したことで、彼らを「末続世代」と呼ぶことがあった。それを連想させる。
ベテランと若手の競い合いが日本陸上界を活性化する!
また、彼らは「役割」も担っている。
振り返れば、北京五輪のシーズンに福島千里が台頭し、日本女子では56年ぶりにオリンピックの100mに出場したことをきっかけに女子短距離が活性化した。
今回、ロンドン五輪に出場する若手たちもまた、福島と同様、自身の取り組む種目の将来像を左右し得る。
室伏ら第一人者たちの活躍もさることながら、伸び盛りの若い選手たちがロンドンでもその力を発揮できるか。
互いを刺激としつつ、さらに成長した姿を大舞台で見せてほしい。