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涌井無き西武を支える“新エース”、
岸孝之の盤石の安定感を検証する。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTamon Matsuzono
posted2012/06/13 11:35
今年はキャンプから開幕投手を意識していると発言していた岸孝之。過去2年間の故障を考えても、岸が今季にかける思いが強いことが分かる。渡辺監督も涌井と競わせる予定だったはずなのだが……。
「ゲームを作ることだけを考え、一生懸命に投げるだけ」
シーズン序盤は打線が低空飛行を続けていたこともあり、「優勝候補」と呼ばれながら最下位に甘んじていた西武。岸自身も投球内容と勝利数が比例することはなかった。しかし、交流戦に入り主砲の中村剛也が完全復活を遂げるなど、現在の西武のチーム状況は悪くはない。
その一方で、不動のエースである涌井秀章が大スランプに加え、プライベートでの不祥事により一軍昇格が未定といった不安要素も確かにある。だからこそ、これからはより一層、岸には安定感が求められてくる。
「ゲームを作ることだけを考えて、一生懸命に投げるだけなんで」
端正な顔立ちを崩すことなく、岸は自分の役割を淡々と語る。
頼れる“新エース”のパフォーマンスは、今後も崩れることはまずないだろう。