セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
カルチョ・スキャンダルから6年……。
優勝したユーべが無敗記録継続中!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/05/11 10:30
敵地でカリアリに2-0で勝利したユベントス。2位のACミランがインテルに敗れたため、9季ぶり28回目のスクデットを獲得した。この勢いのまま、コッパ・イタリア決勝ナポリ戦で2冠を目指す。
ミランで戦力外とされたピルロは自らの能力を証明した。
優勝争い未経験者ばかりの若いチームにあって、ベテランの選手たちはまさに精神的支柱だった。
前年王者ミランから移籍してきたMFピルロも、コンテが目指した攻撃サッカーの核としてフル回転しただけでなく、中盤でコンビを組んだMFマルキージオの才能を大きく開花させた。古巣から戦力外とされた32歳の司令塔は、累積出場停止1試合をのぞく今季全試合に出場、誰もが認めるMVPとなった。
大言壮語とは無縁ながら「俺は勝つためにここに来て、そして実際に勝った。自分がまだナンバーワンの選手だと確信していたし、それを見せられたんじゃないかな」と言ってのけた。
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物静かな天才は、古巣へ最高の意趣返しを果たしたのだ。
上位6強に対して見せた無類の強さに嘘偽りはない。
今季のユベントスは、引き分けの多さ(37戦15分)から“勝ちきれない弱さ”を指摘されることもあったが、上位6強(ミラン、インテル、ナポリ、ウディネーゼ、ラツィオ、ローマ)を相手にした計12戦では8勝4分、無類の強さを誇った。これらの大一番で後半残り15分を切った時間帯のゴールは計7点もある。特に前年王者ミランとナポリは、それぞれ2度の対戦で煮え湯を飲まされた。
夏と冬のキャンプで徹底的に鍛え上げられ、欧州カップ戦の消耗とも無縁だったユベントスは、シーズンを通してトップ・コンディションを維持した。彼らに運動量勝負を挑んだが最後、75分を越える頃には相手チームの脚はことごとく動かなくなった。終盤の勝負どころでコンテは次々にフレッシュな選手を投入し、怒涛のラッシュで相手ゴールを陥れ、ライバルたちの心を折っていった。コンテは開幕前に公約した通り「憎たらしいほど強いユーベ」を見事復活させた。無敗記録を別にしても、彼らがカンピオナートで見せた強さは本物だった。