セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
カルチョ・スキャンダルから6年……。
優勝したユーべが無敗記録継続中!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/05/11 10:30
敵地でカリアリに2-0で勝利したユベントス。2位のACミランがインテルに敗れたため、9季ぶり28回目のスクデットを獲得した。この勢いのまま、コッパ・イタリア決勝ナポリ戦で2冠を目指す。
今季の優勝は「3つ目のステッラ」に値するものか!?
ただし、'90年代に名将リッピの薫陶を受けたコンテは、実際に形に残るタイトルを手に入れるまで、汚名を雪ぐことはできないことを知っていた。どんなに無敗街道を続けても、どんなにライバルから白星を重ねても、タイトルを奪わない限り、ユベントスは2年連続7位の中堅チームだった。
指揮官はつねに「自分たちの出発点を思い出せ」と選手たちへ謙虚さを説きながら、熾烈を極めた前年王者とのデッドヒートの最中には「どちらが勝つにせよ、ミランにも血反吐を吐いてもらう」と並々ならぬ覚悟を示した。このスクデットには、積み重ねた年月の執念が滲んでいる。
優勝が現実となった今、「来シーズン、ユベントスは3つ目のステッラ(星)を掲げるべきだ」と言う声が、クラブ内外から高まり始めた。
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ユニフォームに刺繍された金色の星は、スクデット獲得10回の栄誉を意味する。
カルチョ・スキャンダルによって強いられた優勝剥奪は不当だと今なお訴えるユベントスにとって、今回の優勝は28回目であるはずがない。アニェッリ会長から地方の1サポーターまで“30回目だと考えるのが当然”なのだ。
剥奪したイタリア・サッカー協会やリーグ機構はすでに不快感を示しているし、2つ目の星を一刻も早く手に入れたいミラノ2強の猛反発は必至だ。だが、戴冠した今のユーベに怖いものはない。最終節の相手アタランタも、コッパ・イタリア決勝戦で当たるナポリも、まとめて蹴散らしてしまう勢いだ。
ユベントスはついに表舞台へ舞い戻った。
有終の美を飾る役目は貴婦人にこそふさわしい。