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日本一諦めきれない男の人生──。
古木克明は今もオファーを待っている。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byKatsuaki Furuki

posted2012/05/03 08:02

日本一諦めきれない男の人生──。古木克明は今もオファーを待っている。<Number Web> photograph by Katsuaki Furuki

日々自らの身体に鞭打つようにして激しいトレーニングを続けている古木克明。古木ファンならば……ツイッターの@furukiktakとフェイスブックをチェックすべし!

 プロ野球が開幕して1カ月。全国各地では今年も連日勝った負けたと、いつものペナントレースが繰り広げられているわけだが、ちょっと考えてみてほしい。我々は何か重要なことを忘れてしまってはいないだろうか。

 古木。

 そう、古木克明の続報がまるでないのである。

 開幕熱も落ち着いた今日この頃、ここで筆者は声を大にして言いたい。数多のプロ野球関係者、そしてスポーツメディアに携わる方々、ファンの人たち、古木忘れていませんか! と。

 昨年10月の記事で総合格闘家からの引退と、まさかのプロ野球界再挑戦をぶち上げた古木は、その後2度のトライアウトに挑み、神戸で1安打、千葉では3安打と十分な結果も残し、本人曰く「100点」と、やれる手応えもつかんだ。

東山紀之に突っ込んだのは筆者だけではないはずだ!

 しかし、やはり一度野球界を捨てた人間に対して、現実は甘くはなかったというべきか。いくつかのチームから獲得の噂が流れるも、実際に古木の元へ届いたプロ野球球団からのオファーはなし。テレビや新聞での話題からも次第に消えていく厳しい状況。年末に放送された「プロ野球戦力外通告クビを宣告された男達」(TBS)で散々煽った挙句のラストシーンで、「結局、古木に声を掛ける球団はなかった」という東山紀之のナレーションに向かって「それで終わりか!」と掴みかからせたのは筆者だけではないはずだ。

 ……気がつけば最初のトライアウトから約半年が経っていた。

 その後、古木はどうなったのか。

中央線某駅のワンルームでオファーを待つ日々。

 中央線某駅。古木は相変わらずこの町のワンルームマンションに一人で住んでいた。そして、トライアウトを目指していたあの時と同じように今も毎日練習を続けている。

 ただ違うことはトライアウト終了から半年間、毎日毎日、球団からの届かない連絡を待っているということ。

 選択肢は他にもあった。だが同じくトライアウトを受けた元阪神杉山のように独立リーグ、もしくは社会人などのチームに所属するでもなく、元西武G.G.佐藤のように海外にステージを求めるでもなく、日本に残りひとりで練習を続ける“浪人”という形をとった。

 キャンプインまでには連絡が来るだろう。キャンプ中には連絡が来るだろう。明日こそ、明日こそはと思いながら、気がつけば4月も終わろうとしていた。古木は今の状況を語る。

【次ページ】 「7月31日までには連絡が来ると信じています」

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