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“世界一のアニキ”の矜持を守った、
金本グッズは売れ続ける……。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/04/26 12:00

“世界一のアニキ”の矜持を守った、金本グッズは売れ続ける……。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

“アニキ”の矜持を守り、世界記録を断ち切った金本。

 柳本さんの予想通り、その日を境に開幕から低調を続けていた金本グッズは売れ行きを伸ばし始めた。それは横浜の次に試合が行われた甲子園球場でも同じだった。これならば、1500記念グッズで廃棄が出たとしても採算は取れるだろう。

 もちろん、万全な体調であれば、記録は続けてほしかったという思いが多くのファンにはあるだろう。だが、金本という稀有な選手には、1500試合連続フルイニングという大記録以上に、チームのためなら世界記録すら簡単に打ち切ることができる、“アニキ”であって欲しいのだ。

 1492。

 その数字は、金本がアニキとしての矜持を守った証の数字。

 これから、その数字を冠したグッズが山のように溢れ出てくるだろう。

金本の一大決心に阪神ナインが奮い立った!

「お兄ちゃんが帰ってくるまで、しっかり頑張りたいと思います」

 23日の中日戦でお立ち台に立った新井は、そう言って4番の座を守る決意を示した。

 開幕から不振を極めた鳥谷も、金本が離脱した後は.364、6打点と、勝負強さを見せている。

 金本がスタメンから外れ、「絶対に負けられない」と挑んだ18日の横浜戦は、ブラゼル・桜井の活躍で逆転勝ちを収めた。

 あの日以来、6試合で4勝2敗。

 飛びぬけた数字ではないが、その内容を見ればこれまでとは明らかに何かが違うように感じる人は多いはずだ。

 選手たちは金本の思いに報いるために一丸となっている――。

 それは単なる野球ファンの夢想であり、願望なのかもしれないが、もしも今年、阪神が優勝するようなことになれば、永遠に語り継がれることになるだろう。

「2010年阪神優勝。その原動力となったのは金本知憲の連続フルイニング出場1492試合。金本世界記録で“イヨクニ燃えるタイガース”や! 覚えときぃ」

 100年後の阪神ファンは、コロンブスが新大陸を発見するよりも重大な事柄として、この数字を覚えているんじゃないだろうか。

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金本知憲
阪神タイガース

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