MLB東奔西走BACK NUMBER
現役メジャー選手、唯一の「42番」。
ヤンキースのリベラが決めた最後。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2012/03/03 08:01
昨シーズンまで、メジャー通算603セーブと歴代1位の記録を持つマリアノ・リベラ投手。過去、1999、2001、2004年と年間最多セーブも3回記録するなど、ヤンキースのみならず、メジャーを代表するクローザー
栄光の背番号に、リベラが加えた新たな伝説とは?
だがリベラはそのプレッシャーに潰されることはなかった。むしろロビンソンの偉業を上回るほどの実績を積み上げた。
昨年の9月19日、シーズン43個目のセーブをマークし、通算セーブ数を602とし、トレバー・ホフマン氏が保持していたメジャー通算記録を抜き去ったのだ。
ロビンソンがマイノリティのためにメジャーへの道を切り開いてから64年の時を経て、パナマ出身のリベラがマイノリティの伝統を受け継ぎ、そしてメジャーの頂点に立った。まさに42番がメジャー球界から消える前に、リベラが更なる重みを加えたといえるだろう。
「多少は42番に価値を加えることができたと思っている。ロビンソンがここまで尊敬されるのは単に歴史を変えただけでなく、彼が野球を通じてチームメイト、家族に対する行動すべてが尊敬に値するからこそだ。自分も42番を使用することで、彼に負けないように常に野球に敬意を抱きながらそれと向き合ってきたつもりだ。ただ42番を汚さないように自分の仕事をすることだけを考え続けてきた」
“ヤンキース生え抜き3人組”のポサダとジーターも……。
すでに42番が永久欠番になっているとはいえ、1990年代後半から続くヤンキース黄金期を支えたリベラの功績はチームにとって計り知れないものがある。彼の引退後はリベラの番号として永久欠番になるのは間違いないはずだ。
だが当のリベラは、
「そればかりはわからない。もしかしていつかはその日がくるかもしれない。だが自分がプレーしてきたのは栄光のためではなく幸せのためだ」
と煙に巻いた。
リベラとともに黄金期を支えた“ヤンキース生え抜き3人組”のホルヘ・ポサダ氏はキャンプイン前に引退を発表し、デレク・ジーター選手もすでにピークを過ぎたと言われている。メジャー18年目を迎えるリベラも一歩ずつ現役生活の終焉に向かっているのは間違いない。