野球クロスロードBACK NUMBER
斎藤、澤村、塩見、伊志嶺……。
'10年ドラフト1位選手の○と×。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/31 08:02
オールスターゲームに出場し、好投した斎藤佑樹投手。大会スポンサーであるマツダの「スカイアクティブテクノロジー賞」を受賞し、車を一台贈られることに!
社会人出身のプライドを見せた、阪神・榎田。
大卒選手の躍進が目立つなか、社会人のプライドを見せつけたのが阪神の榎田大樹だ。
球団の新人記録となる62試合に登板し、3勝33ホールド、防御率2.27。シーズン終盤に打たれる場面が増えたものの、貴重な左のセットアッパーとして高いパフォーマンスを見せてくれた。
ルーキーに限って言えば、先発、中継ぎ、抑えと、起用の幅が広い投手のほうが出場機会は多いとされているが、今年は打者にも注目が集まった。
ロッテの伊志嶺翔大は、1年目から力を発揮した。主に2番打者として126試合に出場。打率は2割6分1厘ながら、リーグ4位の32盗塁に犠打も27決めた。
「得点圏であれば、高いバウンドなら点が入るな、とかプラスに考えて、そうでない場面でもクリーンナップに繋ぐバッティングを常に考えて打席に立っています」
このような彼の意識に指揮官の西村徳文も、「打つほう以外にも常に盗塁を狙う姿勢とか、そういうところは大事ですよね」と高く評価。繋ぐ野球を身上とするチームに、伊志嶺のプレースタイルは見事にフィットした。
高卒野手3人に漂う、ブレイクの予感。
そのほかの野手だと全て高卒となるが、彼らも「○」に匹敵する結果を出した。
ヤクルトの山田哲人は、レギュラーシーズンでは一軍未出場ながらも、二軍で主力となった実力を評価され中日とのクライマックスシリーズではスタメンに抜擢。ドラフト史上初の「外れ外れ外れ1位」指名となり話題となったオリックスの駿太も、高卒の外野手ルーキーでは52年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った。ソフトバンクの山下斐紹は、一軍での出場こそなかったが二軍では82試合に出場。捕手というポジションを考慮すれば上出来の1年だったと言っていいだろう。
著しく目立ちはしなかったが、高卒1位の3選手は来季のブレイクを予感させる要素は充分に備わっている。
一軍のマウンドなしに終わった西武・大石の「×」なシーズン。
となれば、残りの3名は「×」となる。
真っ先に挙げられるのは、やはり西武の大石達也になるだろう。
ドラフト会議で6球団から指名された逸材は、中継ぎとして開幕一軍切符を手にしたが右肩の故障により登板ゼロで登録抹消。二軍では15試合に投げたものの、一軍デビューを果たせぬままシーズンを終えた。
「悔しい1年でした。来年は、一軍で勝利に貢献したいです」
契約更改交渉後の会見で、大石は自戒の念を込めてそうコメントを残した。