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ドイツサッカーに新風吹き込む、
ふたりの“なでしこ”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2010/04/01 10:30
なでしこジャパンでも存在感を増す安藤。欧州での経験が女子W杯で生きるはず
日本人としてドイツ・サッカーの中で見せ場を作る。
身長が164cmでドイツ人の中に入れば小柄な安藤は、その俊敏な動きで相手選手を翻弄していく。先日のTebeベルリン戦では、ハーフウェイラインあたりからドリブルを始め、3人もの選手を抜き去って見せた。ベルリンサポーターで埋まったスタンドからもどよめきが起こったほどだ。
「ああいうのが、自分のやっていきたい、見せていきたいプレーなので……。ドイツのサッカーにも慣れて、ああいうプレーを徐々に見せられるようになってきました」
永里も負けてはいない。本職はFWながら、チーム事情でサイドハーフとしてプレーした試合ではチームメイトから絶賛された。
「みんなに、『チームの中で一番走っていたよ!』と言われたんですよね。そういうところが評価されるというのは少し意外でした」
もっとも、本職のFWとしてプレーした試合では、着実にゴールを重ねている。
澤穂希と同様アメリカのWPSへ行かなかった理由とは?
しかし、彼女たちは何故、アメリカではなくて、ドイツを選んだのだろうか。アメリカはFIFAの女子ランキングでもトップに立ち、WPSという女子のプロサッカーリーグを持つ。
例えば、長年にわたり日本の女子サッカー界を引っ張って来た澤穂希などは、WPSはもちろん、その前身となるWUSAでもプレーしている。2人とも、偉大な先輩である澤に憧れていた。かつては、澤のようにアメリカでプレーしたいとも思っていた。
アメリカのクラブからもオファーを受けながら、ドイツでのプレーを選んだ安藤は語る。
「代表の試合でドイツと戦って、ドイツサッカーのレベルが高いことを知りましたし、ヨーロッパのフットボール文化の中でやってみたいなと思ったんです」
永里が口にするのは、チャンピオンズリーグへの憧れだ。
「チャンピオンズリーグって、サッカー選手にとっては夢の舞台じゃないですか? そこに惹かれましたね」