Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<『Dear KAZU』出版記念> ジーニョ 「カズは常に最も危険な選手だった」 ~カズへの6通のエール~
text by
藤原清美Kiyomi Fujiwara
photograph byDaisuke Ito/AFLO
posted2011/12/16 06:01
『Dear KAZU 僕を育てた55通の手紙』刊行特別企画。
時に頼れる味方として、時に警戒すべき相手として、
同じピッチに立った6人の選手が送る6通のエール。
第3回は、横浜FCの前身である横浜フリューゲルスでかつて、
サンパイオ、エバイールと共に“ブラジルトリオ”としてプレーした
ジーニョ(元ブラジル代表)からのメッセージを公開します。
ブラジル代表でプレーしていた時に、カズのいる日本代表と対戦する機会があったんだけど、彼はチームで最も危険な選手だった。Jリーグでも対戦した。当時はビッグネームがたくさんいて、リーグのレベルを高めていた。その1人が、カズだ。
彼はプロサッカーとは何かを理解していた。選手が試合に向けて、いかに注意し、準備し、集中しなければならないか。僕が日本の選手達に少し欠けていると感じたことだ。カズはそれをブラジルで学び、自らの成熟に繋げた。そして、身をもって他の日本人選手達にも伝える役割を果たしたんだ。
横浜フリューゲルス、横浜FCを愛する一人として。
僕は彼と同じ44歳なんだけど、この年までプレーを続けるのは本当に大変なことだ。20歳や22歳の選手達と対戦するのに、僕らはほとんど倍の年齢なんだから。フィジカルの準備も必要だ。それでも現役でいるということは、彼が本当にサッカーを楽しんでいるんだと思う。すでに多くを達成した彼が、それでも続けているのはプレーするのが楽しくて仕方無いんだろう。他に理由はない。
しかも、彼が所属しているのは、僕がいた横浜フリューゲルスを前身としているクラブだよね。僕はフリューゲルスでプレーしていたあの時代を、すごく懐かしく思っている。だから、横浜FCのファンなんだ。あのクラブを愛する一人として、盛り上げてくれていることに、ありがとうを言いたいよ。
文藝春秋BOOKS
KAZUはいかにして出来上がったか
ペレ、バッジョ、中村俊輔、香川真司……カズと関わってきた人たちが書いた、心こもる手紙。カズの“KING”たるゆえんが明らかになる
<本体1,200円+税/三浦知良・著>
▶ 書籍紹介ページへ(文藝春秋BOOKS)