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<『Dear KAZU』出版記念> ジーコ 「カズはお手本なんだ」 ~カズへの6通のエール~
text by
藤原清美Kiyomi Fujiwara
photograph byDaisuke Ito/Kazuaki Nishiyama
posted2011/12/12 06:01
『Dear KAZU 僕を育てた55通の手紙』刊行特別企画。
時に頼れる味方として、時に警戒すべき相手として、
同じピッチに立った6人の選手が送る6通のエール。
第1回は、カズのブラジル時代から縁のある
ジーコ(現・イラク代表監督)からのメッセージを公開します。
カズが若い頃にブラジルで学んだことは、彼のキャリアの中で非常に重要なものだったと思う。私の兄エドゥーがコリチーバの監督をしていた時、ちょうどカズがチームに所属していたんだ。兄はいつでも「彼は非常に献身的にサッカーに取り組む選手で、常にもっと学びたいという意欲を持っている」と話していたものだ。そして、まさに重要なことを自ら掴んだのだろう。
カズは素晴らしい選手であるとともに、日本サッカーの発展において、非常に重要な役割を果たした。私自身、日本代表を指揮していた時に、彼と中山(雅史)を招集しようとしたことがあった。
彼らは、日本代表のユニフォームを着た時には、いつでも大きな誇りと、国への愛情を感じさせるプレーをした。彼らはお手本なんだ。当時は、彼らが1年後、2年後には引退するかもしれないと思っていた。だからこそ、現役のうちに若い選手達に代表のスピリットを伝えてもらいたいと考えたんだ。
ドイツW杯アジア予選では、カズの招集を考えていた。
そこで、すでに'06年W杯・アジア1次予選突破が決まっていた最終戦で、彼らを招集したいと考えた。もちろん試合に負けていいと思ったわけじゃない。彼らには、代表で良いプレーをする力があると確信していたんだ。当時もクラブで貢献し、活躍している選手が、なぜ代表チームで活躍できないことがある?
結局、そのアイデアは実現しなかったけど、新潟県中越地震復興支援のためのチャリティーマッチは鮮明に覚えている。あの時は、カズをはじめ代表歴が長い選手達が来てくれたんだ。4万人以上の観客が集まり、素晴らしいイベントになったよ。
私は、今年の8月からイラク代表を率いて'14年のW杯出場をかけて戦っている。イラク代表には、良い選手達がいて、'07年にはアジアカップでも優勝している。W杯で指揮を執れることを願っているよ。そして、日本代表を指揮した時と同じように、成功と幸運を掴みたいと思っている。私も再び、あらたな挑戦に踏み出したというわけだ。
最後に、カズへのメッセージを送りたい。その輝かしい経歴と、日本サッカーへの貢献を祝福させてほしい。そして、現在もまだプロとして活躍している彼に、心から幸せを祈っているよ。
文藝春秋BOOKS
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