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ソフトバンクの超・完全優勝。
~前代未聞の記録の数々~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/11/29 06:01

ソフトバンクの超・完全優勝。~前代未聞の記録の数々~<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2003年の日本一以来(当時は福岡ダイエーホークス)、3度のパ・リーグ優勝、5度のプレーオフ進出を果たしながら涙を飲んできたホークスだったが、秋山幸二監督就任3年目にして、ついに8年ぶりの日本一に輝いた

 今年のソフトバンクは、あらゆる角度から見て、王者らしい王者だった。まず、史上初めて、リーグ戦で「完全優勝」を飾った。パ・リーグの相手5球団、および交流戦で当たったセ・リーグの6球団、すべての対戦相手に勝ち越したのである。分の悪い相手というのはいなかった。日本シリーズも4勝3敗で中日に勝利した。これだけでも大した記録だが、2011年のソフトバンクは、それだけではなかった。走攻守、どの分野においても、12球団の中で最高のチーム成績を残したのである。

 打撃に関して言えば、チーム打率はもちろんチーム出塁率とチーム長打率も1位。盗塁数も断トツ。投手力はチーム防御率が1位。そして守備面では、チーム失策が144試合でわずか51個と最少――走攻守の主要6部門全部で、12球団トップだったのである。

 日本プロ野球の歴史上、1953年以前は犠飛の本数が分かっていない年があるため、出塁率を算出できないシーズンがある。このため「'54年以降」という条件付きにならざるを得ないわけだが、この主要6部門ですべて全球団中1位というチームは、今年のソフトバンクが史上初めてのことだった。全球団中1位ではなく「リーグ1位」ということに絞って考えても、'92年の西武以来、史上2チーム目の快挙だったのである。V9時代の巨人にも6部門オール1位の年はなかったのだ。

'92年の西武と比較しても際立つソフトバンクの凄さ。

 '92年の西武は辻発彦、平野謙の1、2番に秋山幸二、清原和博、デストラーデのクリーンアップ。そして捕手は伊東勤。先発投手には渡辺久信、工藤公康、郭泰源、石井丈裕。抑えに鹿取義隆、潮崎哲也という円熟のラインアップだった。80勝47敗3分でリーグ優勝すると、ヤクルトとの日本シリーズは4勝3敗で制している。

 しかしこの2チーム、数字の内容を比較してみると、今年のソフトバンクの凄さが際立ってくる。'92年の西武の場合、盗塁数は116個で1位だったが、この年はダイエーも115個で、その差は、わずかに1個だった。

 これに対し、今年のソフトバンクには、こういった「僅差の1位」という部門がない。逆に「大差の1位」が目立つ。

●チーム成績・主要6部門がすべてリーグ1位だったチーム
   '11年ソフトバンクと'92年西武の比較
順位 打率 出塁率 長打率 盗塁 防御率 失策
'11 1 ソフトバンク
.267
ソフトバンク
.323
ソフトバンク
.384
ソフトバンク
180
ソフトバンク
2.32
ソフトバンク
51
2 西武
.253
西武
.318
西武
.366
楽天
130
日本ハム
2.68
ロッテ
75
'92 1 西武
.278
西武
.359
西武
.445
西武
116
西武
3.52
西武
56
2 オリックス
.272
オリックス
.335
近鉄
.413
ダイエー
115
オリックス
3.58
オリックス
63

 盗塁数は180個で2位の楽天(130個)を50個も引き離している。成功率もソフトバンクは79%で、楽天の71%より高いのだから、失敗覚悟で走ったわけではないことが分かる。チーム防御率2.32も、2位の日本ハム(2.68)を0.36も引き離して、大差の1位。加えて失策数51というのも、2番目に少ないロッテ(75)より24個も少ない。

 防御率が断トツで、失策数も飛び抜けて少ないとなれば、当然、失点は少なくなる。ソフトバンクの年間自責点は331点、失点は351点、その差は20点。つまりエラー絡みで失った無駄な失点は年間20点しかなかった。失策が2番目に少なかったロッテでも、年間自責点と失点の差は53点だ。ソフトバンクの投手力、守備力を総合した「失点阻止力」というものが、いかに優れていたかよく分かる。

【次ページ】 ダルビッシュのように飛び抜けた存在はいないが……。

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