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「右投げ左打ち」の本塁打が激減。
統一球が変えたプロ野球のトレンド。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/11/05 08:02

「右投げ左打ち」の本塁打が激減。統一球が変えたプロ野球のトレンド。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

今季ダントツの本塁打数を叩きだした西武の4番、中村剛也。統一球の導入によって、その天性の長打力が際立つ結果となった

本塁打の秘訣は「バットを長く押し込む」イメージ。

 右投げ右打ちこそ本塁打王の王道、を強く再認識させたのが今季、本塁打を量産した西武の主砲・中村剛也である。ここに貴重な発言記録がある。『週刊ベースボール 2011年8月1日号』(ベースボール・マガジン社)の「スペシャルインタビュー」で、中村はこんなことを言っている。

「今シーズンは、去年と同じ押し込み方だと入らないんですよ。(その新しい押し込み方とは?)『バットを長く押し込む』イメージです。ボールとバットが去年までより長いことくっついているというか。ほんの一瞬なんですけどね。その感覚をつかみかけたところです」

 そして具体的なミートポイントについては次のように語っている。

「ポイントを前にしたほうが、当たれば飛ぶとは思います。実際に僕が'08、'09年に本塁打のタイトルを取ったときもポイントはかなりピッチャー寄りでした。ただ、ポイントを前に置くことによって、変化球への対応が難しいというデメリットもある。だからそのときと比べたらだいぶ手元寄りになりましたよ。(いまはどのへんですか)左足を踏み込んだときの前あたりです。ホームランを打っているときは、だいたいこのポイントで打てているはず」

巷に流れる「中村の本塁打量産の秘密」は大間違い!?

 ちなみに、このインタビュー記事には「成績は7月17日現在」とある。このときの中村の成績は打率.270、本塁打26、打点53で、他の本塁打数2ケタの選手は松田宣浩(ソフトバンク)14、中島裕之(西武)10、フェルナンデス(西武)10の3人しかいない。中村の凄さが際立っている。

 この「ポイントは捕手寄り」に対して、中村の本塁打量産の秘密を「ポイントを投手寄りにしたからだ」というかつての発言で脚光を浴びているのが、元西武打撃コーチの大久保博元だ。

 コーチとしての球界復帰が現実的になるにつれ、かつての「中村育ての親」という身分に注目が集まっているが、利き手が前にある右投げ左打ちが本塁打の面で苦労し、利き手が後ろにありポイントを捕手寄りにしてボールを押し込むタイプ、つまり右投げ右打ち(左投げ左打ちも)が統一球にもめげず本塁打量産の先頭に立っている現象をみれば、「ポイントを前にして打つ」ことが、本塁打量産の秘密であるわけがない。

 真逆の説が「中村の本塁打量産の秘密」として流布しているので、一言断っておきたかった。

【次ページ】 本塁打を“特権階級の勲章”に引き上げた統一球の功績。

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