私とDo 特別編BACK NUMBER
「Number Do駅伝」を走ったら……。 ~作家と編集者の「ゆるラン」仲間がアスリートの聖地に挑む~
text by
NumberDo編集部Number Do
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/09/29 06:00
六本木での連日の深酒でヘロヘロのランナーも。
奥田さんたちがコースを走っているとき、「マメ筋」Bのアンカーである私(38)は、タスキの受け渡しポイントで待機していた。
編集者の嗜み(?)であるゴルフ、スノーボードの腕前は他人に負けても、ランニングだけは譲れない。ライバルである他の最終走者を見渡した。
マメ筋Cのアンカーは、角川書店Jさん(36)。今年6月のハーフマラソンに、アーガイル柄のビジネスソックスで臨み、見事リタイアしている。3区スタート時点で、我々「マメ筋」Bと2位の「マメ筋」Cとの差は2分以上。今日の靴下を確認するまでもなく楽勝だろう。
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マメ筋Aのアンカーは集英社のIさん(31)。チーム最年少だが、連日の六本木のバーでの深酒がたたり、今朝もヘロヘロだった。
勝利を確信して待っていると、なんと我がチームの3走・講談社K女史(39)と、マメ筋Cの3走・新潮社F女史(36)が、ほぼ同時に受け渡しポイントに駆け込んでくるではないか。
おおなんということか。
追い上げるF女史は、愛する夫の名を叫びながら、持病のぎっくり腰も忘れたかのような激走を見せる。
元上司からは「おーい、表情が固いぞ」と野次が。
「Kさん、2分の差はいったいどこへ行ったんですか?」
「ごめん、ごめん、途中で携帯電話を落としちゃって。でもこの方が盛り上がるでしょう(笑)」
日ごろからお世話になっているK女史をねぎらうつもりが、鬼のような形相で奪うようにタスキを受け取って走り出す。
Jさんは、表情を変えずにぴったりと併走してくる。足元を見ると、やはりランニングソックスではないようだ。
「こんな併走してきて、君はイカンガーか。しかも、そんな靴下で何故、靴擦れしないのだ?」
動揺を抑えて全力で走るが、Jさんとの差は広がらない。応援してくれるはずの元上司であるY前編集長からは、
「おーい、表情が固いぞ」
「真後ろにいるぞ、このままだと抜かれるぞ~」
という野次が飛ぶ。