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香川所属のドルトムントが迷走中!?
王者が抱えてしまった3つの難題。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2011/09/28 10:30

香川所属のドルトムントが迷走中!?王者が抱えてしまった3つの難題。<Number Web> photograph by AFLO

リーグ戦第7節を終え、3勝3敗1分で8位のドルトムント。ちなみに昨季の同時点では6勝1敗で2位につけていた

代表戦での肉体疲労とチームでの練習不足の悪影響が。

 コンスタントに代表に選ばれることで、選手たちの疲労はたまることになる。S・ベンダーやシュメルツァーの怪我も、そうしたハードスケジュールとは無縁ではない。疲労は、肉体面だけではなく、精神的な面にも影響を及ぼす。選手たちが受けるプレッシャーは格段に増え、プライベートでも注目されるようになった。少しでもプレーの質が落ちれば、メディアからは大きな批判を受ける。

 疲労をためて代表での活動から戻り、すぐに試合をこなさなければならない。事実、1部に昇格したばかりのヘルタ・ベルリンにホームで敗れたのは、国際Aマッチデー直後のことだった。

 代表選手が増えた影響は、それだけにとどまらない。リーグ戦の中断期間に、これまではまとまって練習を行なうことが出来たのだが、現在はそれも出来ない。昨季のチームの中心だったサヒンが抜けて、新たな道を模索していたドルトムントだが、満足のいくような戦い方を見つけられずに開幕を迎えてしまった。週に2試合ペースで試合が行なわれるなかで、戦い方を修正・発展させていく時間は残されていない。

新加入選手の能力を封じてしまうマネジメントの失敗。

 そして、3つ目がチームマネジメントの失敗だ。

 ペリシッチ、ライトナー、ギュンドガンなど、今季から加わった選手は中盤の攻撃的なポジション、しかも中央でのプレーを得意とする選手だ。昨季のベルギーリーグ得点王の看板をひっさげてやってきたクロアチア代表のペリシッチはFWやサイドのMFとして起用されて、本領を発揮できずにいる。ギュンドガンは、前任のサヒンとは異なり、細かいパスをつなぎ、自らも前線に飛び出していくタイプ。しかし、FWにボールがおさまらないと、その特長はあまり活きない。現在はむしろ、強引に前に出ていくことで、レバンドフスキや香川のスペースを消してしまっている。ライトナーにいたっては第7節の途中出場でしかまだ出番を得られていない。

 その一方で、試合の流れを変えられるサイドアタッカーはおらず、ゲッツェのドリブル突破とブラシュチコフスキのスピードに頼るだけ。昨季から上積みはない。さらに、バリオスが怪我をしているために、本職がFWの選手はレバンドフスキしかいない。ポジションのバランスが良くないのだ。

【次ページ】 「いまがチームとしても試練の時」と香川は堪える。

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