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栄光の時代を知る“鬼軍曹”コンテが、
ユベントスを生まれ変わらせる!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2011/09/04 08:00
新監督のアントニオ・コンテは1969年生まれの42歳。1991年から2004年までユベントスで活躍し、引退後は指導者の道へ。2010年5月、シエナの監督に就任し、セリエA昇格に導いた
ピルロ、ビダル、ブチニッチなど大量補強に成功。
黄金時代をともに過ごし、ユーベ指揮官としても先輩にあたるデシャン監督(現マルセイユ)は「チーム作りは、段階的に加わる新選手の適応次第だ」とかつての戦友コンテに助言を送った。
辣腕マロッタGMは今夏も積極的な市場攻勢をかけた。
司令塔MFピルロ(前ミラン)をコストゼロで獲得すると、DFリヒトシュタイナー(前ラツィオ)やMFビダル(前レバークーゼン)など名うてのテクニシャンたちを次々に獲得。4トップに対応できるよう万能FWブチニッチもローマから引き抜いた。夏季移籍期間の最終日にあたる8月31日には、ハンブルガーSVからオランダ代表FWのエライロ・エリアを獲得したことも表明。欧州カップ戦に出場できずローテーションの必要が無いにもかかわらずここまでチームを肥大化させた問題も残るが、選手の質については文句なしに高いレベルが揃った。
ジダンやデシャンらがいた栄光の時代を取り戻す!
チーム作りが手探り状態にあっても、選手たちのモチベーションは高い。
新戦術の鍵となるピルロは「新しいシーズンはつねに横一線からの再スタートだ。攻撃サッカー(の精神)は必ず報われるときがくる」と語り、新闘将の現役時代を知る古参デル・ピエーロも「プランデッリ(代表監督)は年齢ではなく、現在(いま)のピッチ上の働きを見てくれている」とユーロ2012でのアッズーリ招集をあきらめない姿勢を見せている。
コンテがジダンやデシャンとともに築いた栄光を少年時代の脳裏に焼き付けている若い新加入選手たちにとっても、彼から直接指導を受ける日々は刺激的なものにちがいない。彼の指導メソッドはちがえど、断固とした決意と勝とうとする意思から、ピルロは彼を名将リッピになぞらえている。
8月21日のベルルスコーニ杯で、コンテはイブラヒモビッチとブラジル勢を欠くミラン“B”チーム相手に力試しを挑んだ。1対2というスコア以上に、現王者とのチーム完成度の差を見せられた。