新スタジアムと新監督の前評判は上々だが……。

　その後、新労使協定締結をめぐって選手会によるストライキが強行され、開幕は延期。新戦術浸透のために少しでも時間がほしい指揮官は、内心喝采を挙げたにちがいない。懐疑的なメディア論調の逆風のなかでも、コンテは「上層部と現場は一体だ」と力説し、練習に邁進することで「今は黙って、前進するためにペダルを漕ぐときだ」とクラブの内外に訴えかけている。

　幸いにも年間シート販売キャンペーンは好調で、前年比58％増を記録した上に、企業向けボックスシートはすでに完売。新スタジアム効果も後押しするサポーター人気とハイレベルの選手層、国内のみに集中できる今季のアドバンテージは決して小さくない。

　チームが新戦術をものにするのが先か、結果優先のクラブとファンがコンテを見限るのが先か。“時間との戦い”と評される新コンセプトが浸透したとき、コンテのユベントスは無視できない存在になる。