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逸材揃いだった夏の甲子園を総括。
スカウト注目の54選手を一挙紹介!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/08/24 10:30
金沢・釜田佳直投手は、3回戦の習志野戦で今大会タイ記録の153キロをマークするなど9奪三振2失点と好投するも、1-2で惜敗した
8月20日に幕を閉じた第93回選手権大会で、プロ・スカウトの評価の高かった選手を取り上げようと思う。全体的には投手、野手ともプロ注目の選手が多く、ネット裏はいつにも増してにぎにぎしかった。スカウトは1回戦が終わると姿を消すことが多いが、今大会は2、3回戦でもその姿がちらほら散見でき、関心の高さが実感できた。
個人的なことを言うと、私は過去10年くらい日刊スポーツ紙上で、1回戦が終わった時点で初戦を総括し、文章ととともに「今大会のドラフト候補」としてプロが注目する選手を40人程度、表で紹介している。しかし、今回は40人では足りないということで、50人に増やしてもらった。
多い、という声が聞こえてきそうだが、2回戦以降に心魅かれた選手もいる。たとえば、飯野徹也(作新学院3年・投手)、福永智之(明徳義塾2年・投手)、石井一成(作新学院2年・内野手)、稲垣翔太(明豊3年・内野手)たちで、彼らを入れれば総勢54人の大人数になる。その顔ぶれは別表の通りである。この中から数人をピックアップしながら、今大会の傾向を分析していくことにする。
将来性の「ダルビッシュ型」か、完成度の「涌井型」か。
◇投手編◇
プロ注目の投手と言ってもいろいろなタイプがいる。完成度は低いが150キロ以上のスピードボールを投げ、5年後くらいには日本球界を代表する投手になっていてもおかしくない選手、プロで言えばダルビッシュ有(日本ハム)、佐藤由規(ヤクルト)、田中将大(楽天)がそういう投手だった。
反対に、ダルビッシュのようなスケール感はないが、完成度が高く、プロで失敗する姿が想像しづらい選手が涌井秀章(西武)、前田健太(広島)、唐川侑己(ロッテ)だった(ダルビッシュ、由規は失敗する姿が想像できた)。
この2つのタイプは今年のドラフト候補選手にもあてはめることが可能である。たとえば、釜田佳直(金沢)、白根尚貴(開星)、北方悠誠(唐津商)は「ダルビッシュ型」、吉永健太朗(日大三)、原樹理(東洋大姫路)、松本竜也(英明)は「涌井型」と言っていいだろう。