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“新生”巨人軍の逆襲が始まった!
原監督の非情なる「実力至上主義」。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/08/22 12:15
8月20日のヤクルト戦で、監督として通算600勝を挙げた原辰徳監督。首位と13ゲーム差からの逆転優勝を遂げた「メークレジェンド」(2008年)の再現はあるのか?
逆転優勝に向け、最後まで諦めない勝利への執着心。
さらに徹底していたのが9回だった。谷が先頭のバレンティンの打球を後逸し二塁打にしてしまう。そして2死後、相川亮二のレフト前のゴロもファンブル。3対2と1点差に詰め寄られたところで指揮官は谷をベンチに下げ、ライトを守っていた亀井義行をレフトに、センターの長野久義をライトに回し、センターに鈴木尚広を投入した。結局、彼の出番はなかったが、この勝利への執着心が今の巨人の強さなのだと確信した。
「最後は防戦一方でしたけど、全員で守って勝てたのはいいことですね」
原監督は、自らの采配で掴んだ勝利について、満足げに話した。
「1戦、1戦、大事に戦っていきます」
勝利試合の後の会見、指揮官は、これからの1勝が大事なんだ、と自分に言い聞かせるように、決まってこの言葉を口にする。
自力優勝は消滅した。しかし、'07、'08年には今年と同じように厳しい戦いを強いられながらも逆転優勝を果たしている。
新たな強さを萌芽させた巨人。逆襲はまだ、始まったばかりだ。