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大阪と愛知の代表なのに初出場!?
東大阪大柏原vs.至学館の激戦譜。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/08/09 12:10

大阪と愛知の代表なのに初出場!?東大阪大柏原vs.至学館の激戦譜。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

上宮高校時代は元木大介(元巨人)や黒田博樹(ドジャース)を育てたことでも有名な東大阪大柏原の田中秀昌監督(54歳)

 初出場校だというのに、指揮官を取り囲む空気にそれらしさを感じなかった。

 第3日第4試合、東大阪大柏原vs.至学館の試合前取材でのことである。

 東大阪大柏原の田中秀昌監督は関係者への挨拶をすませると、ほどよい緊張感で報道陣の取材に応えていた。

「相手投手は甲子園練習の時に見させてもらいました。様々なタイプの投手がおりますが、選手たちには、どのタイプにはこういうバッティングをしようというのではなく、どのタイプの投手にも、普段どおりのバッティングをしよ、と言うてます。よそいきの野球をしたら、やられると思いますから」

 さすがは'93年春、上宮(大阪)を率いてセンバツ優勝した監督である。その後も、解説の仕事で何度も訪れた甲子園に、初出場だからといって特別に重たさは感じていないようだった。

大阪桐蔭を破り、愛工大名電を破って甲子園出場を果たした両雄。

 この東大阪大柏原と至学館による、初出場校同士の対決は非常に興味深いカードだった。

 田中監督は「フレッシュ対決」と笑ったが、ともに、地方大会決勝戦で甲子園優勝実績のある大阪桐蔭、愛工大名電を僅差で撃破。全国1位の参加校数を誇る「愛知県」(188校)と同2位の「大阪府」(187校)という最激戦区をくぐりぬけた代表同士が対決するということに、この試合の興味があった。

 東大阪大柏原・田中監督が「大阪代表として、負けるわけにはいかない。激戦区をくぐりぬけてきたからには、それだけの結果を残す義務がある。初出場でも結果を残したい」といえば、至学館・麻王義之監督も「全国一の激戦区を勝ち抜いてきた。僕だけではなく、子供たちにも(勝ち抜いてきた)自信を感じている」という言葉を口にしていたほどだった。

 大阪が勝つのか、愛知が勝つのか。甲子園通算勝利、通算優勝回数で上位を争う両府県のプライドがぶつかり合った。

 しかし、いざ、試合が始まってみると、両校ともに“初出場校”らしかった。緊張から硬さが目立ちミスを連発したのだ。

【次ページ】 激戦区代表校とはいえ、初出場校らしいミスを連発。

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