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大阪と愛知の代表なのに初出場!?
東大阪大柏原vs.至学館の激戦譜。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/08/09 12:10
上宮高校時代は元木大介(元巨人)や黒田博樹(ドジャース)を育てたことでも有名な東大阪大柏原の田中秀昌監督(54歳)
激戦区代表校とはいえ、初出場校らしいミスを連発。
1回表、守る東大阪大柏原は、エースの福山純平が四球で走者を出すと、さらに続く打者のところで、三塁手・西田尚寛がトンネル。一塁走者の三塁進塁は左翼手・望月涼太のカバーで阻止したが、4番・田中和也に適時打を浴び、先制を許した。
1回裏の至学館の守備は東大阪大柏原以上に硬かった。
先発の山田航大が先頭を死球で出すと、一塁走者への注意を怠り、盗塁を許す。さらに、ワイルドピッチ。続く2番・末武雄貴は二塁ゴロを打つも、二塁手の岡大樹がファンブル。さらに、三塁走者の本塁突入を防ごうとして、本塁へ悪送球。2人の打者に対して無安打で1失点という大慌てぶりだった。
激戦区からの出場とはいえ、1回の攻防を見る限りでは“初出場校”に見えたのは言うまでもない。どちらが先に立て直すかがポイントと言えた。
その後、両者無得点で迎えた3回裏、東大阪大柏原は安打と相手守備のエラーで一死満塁とすると、田中監督は打者の西田にスクイズを指示。これがワイルドピッチになって1点が入った(記録はホームスチール)。続けて、田中監督はまたスクイズのサイン。失敗したが、立て続けのスクイズは相手バッテリーを動揺させるに十分だった。
田中監督は言う。
「(勝ち越し点は)記録はホームスチールになりましたが、サインはスクイズ。ワイルドピッチになって助かりました。次もスクイズ。バッテリーミスのあとでは、バッテリーに外す余裕はないだろうと思ったので、スクイズを出しました。打者が失敗したのは痛かったけど、相手にダメージは与えられたと思う」
そして……5回裏に至学館の守備が破綻し東大阪大柏原が5得点。
1点を勝ち越し、東大阪大柏原は完全に落ち着いた。
5回裏、至学館の守備の破たんなどで1死満塁とすると、今度は強攻策。5番・西田が走者一掃の適時三塁打を放ち3点。さらに、松浪遼・福山の連打で計5得点を上げた。
至学館は県大会同様に、タイプの異なる3人の投手を小刻みにつないだが、それでも、東大阪大柏原は振り抜いた。緩い球を逆方向に打ち返す練習で身に付けたブレない打撃は全国の舞台で効力を発揮したのである。
終わってみれば8-1の大量得点差。
大阪代表・東大阪大柏原に軍配が上がった。