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サヒンに代わる司令塔役は誰だ?
連覇をねらうドルトムントの試行錯誤。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/07/18 08:00
ブンデスリーガ連覇に向けて、5人の新加入選手を獲得。怪我で昨季後半は戦列を離れた香川も“6番目の新加入選手”として期待されている
敏腕代理人が発掘した18歳、ライトナーの高い資質。
面白そうなのは、18歳のライトナーだ。
ドイツで今、乗りに乗っている代理人──ドイツ代表GKノイアーをはじめ、ドイツでプレーする日本人選手のほとんどに絡んでいる──トーマス・クロート氏と契約を結ぶ選手だ。選手の資質を見抜く目に定評のある同氏が早くから目をつけていた。
球離れが早く、空いたスペースを見つける能力も高い上に、スピードもある。本職はトップ下だが、プレシーズンマッチでは守備的MFの位置で起用され、チームにリズムをもたらしていた。
「良いパスを供給できる」と香川はギュンドガンを評価。
上記の4人が守備的MFのレギュラーポジションを狙っている。『レビアー・スポーツ』紙のツィマー記者は、レギュラー争いの行方をこんな風に見ている。
「ダ・シルバやケールじゃ、正直、厳しいよね。ライトナーも良い選手だけど、彼は攻撃的な選手で、守備力はそれほどでもない。となると、ニュルンベルクで守備的MFとして実績を残しているギュンドガンが、レギュラーに一番近いだろうね」
ギュンドガンについて、香川はこんなイメージを抱いている。
「前を見れるんで、良いパスを供給できる。そういう意味では試合をやっていくうちに関係も良くなっていくんじゃないかな」
ただ、サヒンの移籍は、もう少し大きなものをもたらしそうだ。
実は、当のサヒンは移籍する前にこんな言葉を残している。
「もし、ギュンドガンが僕のようなプレーを期待されているとしたら、それはおかしな話だね。彼はまぎれもなく良い選手だ。だから彼なりのやり方で、成功をつかめばいいんじゃないかな」
サヒンの移籍でMFが果たす役割にも微妙な変化が。
サヒンの言葉は何を意味するのか。
『WAZ』紙は、さらに踏み込んだ指摘をしている。
「ひょっとすると、中盤に並ぶ2枚のうちの1人が強力な6番の選手(*攻撃を組立てる選手という意)である昨季までのシステムを見直し、2人の守備的MFが、その前に並ぶ3人のMFのプレーにアクセントをつけられるようなシステムを作り上げようとしているのではないだろうか」
ドルトムントのフォーメーションは昨季と同様に4-2-3-1で変わらない。歴代2位となる年間22失点で乗り切った守備の方法にも、大きな変化はない。そのなかで、攻撃の際にMFの5人が果たす役割が微妙に変わることになる。
中盤の5人のうち、守備的MFの1枚にS・ベンダーが、右MFにゲッツェ、トップ下に香川が入ることが濃厚だ。