オリンピックへの道BACK NUMBER
柔道世界王者・中村美里が
ロンドンまで世界選手権全勝宣言。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2009/11/07 08:00
谷亮子と同い年の16歳で福岡国際女子柔道を制した中村は“ポスト谷”と呼ばれていた。谷との対決も期待されたが、身体が大きくなり泣く泣く階級を上げざるを得なかった
「金メダル以外は一緒」と言い放った悔しさをバネに!
銅メダルを獲得した北京五輪の試合後、「金メダル以外は一緒」と話し、悔しさを露わにした。その悔しさは今も消えないと言う。
「世界選手権で勝ったといっても解消できない。オリンピックで負けたのだから、オリンピックでしか返せないと思います」
そのためにも、強くならなければならない。この1年、「世界選手権で金メダル」と口にし、出場する大会ごとに、勝っても負けても、自身の課題をみつけては、克服したいと語ってきた。
とはいえ、言うはやさしいが、実践はやさしくはない。ときに厳しい鍛錬から手を抜きたくもなれば、逃れたくもなる。だが、中村はそれをことごとく実践してきた。そこに感じられるのは、志の高さと強い意志である。
五輪の借りは五輪で返す。ロンドンまで無敗を目指す。
中村は、次のロンドン五輪まで、世界選手権全勝を抱負として語る。
ふと、休日に何をして過ごすのか、聞いてみたくなった。
「週に1日、休みがありますが、ごろごろしていることが多いです。遊ぶと疲れますから」
来月上旬には、グランドスラムの1つ、嘉納治五郎杯(グランドスラム東京)に出場する。
中村美里は、北京五輪の悔しさを晴らすまでの道中にいる。志と強い意志を持つ彼女は、道の先でどのような柔道家になっているか。その姿が楽しみである。