MLB Column from WestBACK NUMBER
続・斎藤隆インタビュー
「ドジャースの幸せな1年」
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKoji Asakura
posted2006/10/24 00:00
僕にとって本当に夢のようなシーズンでした。2度とこんな思いはできないのではないかと思う反面、今度は勝って違う喜びを味わってみたいという新たな気持ちが少しずつ芽生えてきています。シーズン中はとにかく自分の居場所が楽しいだけでよかったんですが、こうして冷静に考えてみると、「こんなチームにはもう巡り会えない」と思うと同時に、「もっといいチームでやってみたい」という気持ちが少しだけ出てきているんです。この時期にこんな思いになっているというのは珍しいですね。実はシーズン途中から、野球の神様がいるんだろうなと感じながらやっていたんですが、結局プレーオフでああいうかたちで敗れたということで、「隆、まだお前にはやることがあるんじゃないか」という啓示めいたものを感じますね。
今シーズンは、挑戦者の気持ちを忘れずに、ただがむしゃらに気力だけで走り続けてきたんです。だから今は、来年も自分がこれと同じだけの気力を持続させることができるのか自問自答している自分もいるんです。そんな折にワールドシリーズでの解説の話を頂き、その華やかな舞台を実際自分の目でみることで、自分の中にどんな新たな気持ちが芽生えてくるのか楽しみにしています。
メジャーもしくは日本復帰?
それに関しては、答えは1つです。ですが、自分がシーズン中に感じていた思いとは別に、アメリカには契約社会というドライな部分がありますから、現時点で確答はできません。ただメジャーという舞台やその選手たちが、僕をこんなにも熱い気持ちにさせてくれたことは間違いありません。最終的にはこれまでもそうしてきたように、自分の出した結論に対し家族に相談し、説得することで最終決定することになると思います。
えっ、新人賞ですか? もう誰か受賞していると思っていました。賞を取る、取らないは関係なしに、36歳の新人選手がどのように評価を受けるのかは単純に興味がありますね。そんなことよりもアメリカが僕を認めてくれて、最後はドジャー・スタジアムであれだけの歓声を受けてマウンドにいられたことに感謝の気持ちで一杯です。ただドジャースは僕を新人として扱ってくれて、僕の新人(セーブ)記録のために近々オープンする博物館に僕のユニフォームとボールを展示してくれるということで、最後にサインしてきました。僕個人としては記録以上に名門あるドジャースの歴史に自分の名前を残せたことが光栄だと思いますし、他人事のようによくやったと感じてます。