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イタリアに楽観ムードなし!
W杯連覇を狙う、静かなる王者。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2009/12/10 10:30
主将カンナバーロにとっても、集大成となるW杯。南アでも鉄壁の守備を見せるか
王者は揺るがず。38年ぶりの連覇達成の準備は着々と。
2006年の夏、イタリア国内であらゆる人々の交わす挨拶が「おはよう! 世界チャンピオン!」に一変したのを思い出す。あの陽気さが嘘のように、今のイタリアには派手な報道は少ない。現在のアッズーリ内部には警戒心が渦巻いている。
現段階で一枚岩になりきっておらず、さりとて楽勝ムードに浮かれているわけでもない。イタリアは史上2国しかないW杯連覇に成功した国であり、今回は1962年のブラジル以来絶えている偉業に挑む立場にある。4回の優勝を誇る前回王者にとって、諸々の問題は今のところ慢心を断つ刺激となっているようだ。
4日の抽選会を境に、選手や監督、協会を含むイタリア国民全員のタイトル防衛への意識がにわかに高まった。イタリアにとってのW杯は、楽しむためにあるのではなく勝つためのもの。そうである以上、楽観視などしない。伝統国としての用心深さや緊張感が少しずつ、静かに浮き彫りになっていく様を見るにつけ、あらためて前回王者の重みを感じずにはいられない。やはり、イタリアを過小評価することはできない。