MLB Column from USABACK NUMBER

「中年の星」ティム・ウェイクフィールド、
17年目の宿願達成。 

text by

李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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photograph byGetty Images

posted2009/07/07 06:01

「中年の星」ティム・ウェイクフィールド、17年目の宿願達成。<Number Web> photograph by Getty Images

レッドソックスでもウェイクフィールドが投げるときは、正捕手・バリテックではなく、ナックルを捕れるコタラスが女房役を勤めている。

「中年の星」の魔球にア・リーグの捕手は戦々恐々?

 私は、ウェイクフィールドのことを勝手に「中年の星」と呼んで応援しているが、7月5日、今季最多勝争いに加わる大活躍が認められたウェイクフィールドは、17年目にして初めてオールスターチームに選出される快挙を達成した。ナックルボーラーのオールスター出場は’86年のチャーリー・ハフ以来、23年ぶりである。

‘86年のハフ(当時38歳、レンジャース)も、メジャー17年目にして初めてのオールスター出場だったが、彼のオールスターでの投球は、ナックルボーラーの「宿命」を見事に象徴するものだった。

 ア・リーグ3対0のリードを守るべく中継ぎとして登板したハフ、7回裏を三者凡退に押さえた後、8回裏先頭打者に二塁打を許したものの後続を三者連続三振に打ち取り、2回を無失点に抑えた、・・・はずだった。しかし、オールスターで初めて女房役を務めた捕手がナックルボールを捕れずに右往左往、折角取った三振がパスボールのせいで振り逃げ、2アウトを取ったものの最終的には2点を奪われ、「ナックルボールで一番難しいのは投げることでも打つことでもなく、捕ること」という言葉の正しさを実証する結果となったのだった。

 というわけで、今回捕手として選出されたジョー・マウアー(ツインズ)とビクター・マルティネス(インディアンズ)の二人、オールスターの晴れ舞台でパスボールを連発するような恥はかきたくないだけに、「自分が守っているときにはウェイクフィールドに出てきて欲しくない」と、秘かに願っているのではないだろうか。

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ティム・ウェイクフィールド
ラウル・イバニェス
ジョー・マウアー
ボストン・レッドソックス

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