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ロンドン五輪金メダルの大本命!
欧州王者に輝いた若きスペイン代表。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2011/06/29 10:30
決勝戦のマン・オブ・ザ・マッチは40メートルFKを決めたチアゴに。この選手権での五輪出場枠は、開催国のイギリスを除くと3枠あり、優勝したスペイン、2位スイス、3位ベラルーシが獲得している
「パスをつなぐことを選手たちもベンチも迷わなかった」
前述のヒネス氏は、スペインがベラルーシ戦で奪った同点ゴールをこう位置付けた。
「我々の目指してきたサッカーが一つの目に見える形として現れた瞬間だった。あの状況でパスをつないでゴールを狙うことを、選手たちもベンチも迷わなかった。それは彼らがパスサッカーを本当に信じたことの証であり、その攻撃を成功させたことは、彼らがそれだけのクオリティを備えていることの証である。A代表の軸としてEURO2008、南アW杯を勝ち取ったシャビ、プジョル、マルチェナ、カプデビラらはシドニー五輪メンバーだった。あの大会から12年後に今回のチームが五輪の舞台に立つことは興味深い。ベラルーシ戦のゴールに象徴されるように、このU-21代表は自分たちのスタイルで勝つことを身に付けた。シャビたちが五輪出場から10年後、下の世代の選手たちと共にW杯を勝ち取ったように、今回のチームの選手たちは向こう10年のスペインサッカーにおける重要な存在となるだろう」
「最も効率が良いのは今のスタイル」主将マルティネスも胸を張る。
また、主将ハビ・マルティネスはこのようなコメントを残している。
「ベラルーシ戦での同点ゴールは色々なことが合わさって生まれたと感じている。EURO2008、南アW杯でスペインが今のスタイルによって勝っていなかったら、僕らも最後までこのスタイルを信じることはできなかった。僕たちは自分たちの力を最大限に引き出すために、最も効率が良いのは今のスタイルだと信じることができる。それは勝負の世界で勝つためにはとても重要なことだ」
12年ぶりにロンドンの地で五輪の舞台に返り咲くスペイン。彼らはこの年代にしては稀有な“試合をコントロールしきる力”を身につけたチームだ。
12年前、シャビたちは、決勝でカメルーンにPK戦の末に敗れ、準優勝に終わった。今の若きスペイン代表たちが目指すはただ一つ。
偉大なる先輩たちが成し得なかった、金メダル獲得である。