スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
世紀の対決と血液検査。
~パッキャオvs.メイウェザー戦を阻む場外乱闘~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2010/01/10 08:00
昨年11月、5階級制覇を達成したパッキャオ(左)と、同9月に現役復帰した無敗の元5階級制覇男、メイウェザー。ファン垂涎の一戦だが
尿検査の結果ではすべてシロ。交渉の落としどころは?
ちなみにいうと、メイウェザー側が想定する第三者とはUSADA(合衆国アンチドーピング機関)を指す。一方、実際に試合を監査する立場にあるネヴァダ州体育委員会は、現在、試合前後の尿検査こそ実施しているものの、五輪スタイルの血液検査はボクサーに要求していない。パッキャオもメイウェザーも、尿検査の結果はこれまですべてシロだった。
やれやれ、である。メイウェザー側の提案はとってつけたような感を拭いがたいし、パッキャオ側の頑なさにもいささか首をかしげたくなる、というのが一観客としての私の意見だ。ただ、これで試合が流れてしまったらあまりにもつまらない。試合前の条件闘争はボクシングに付き物だが、歩み寄りの余地はあるのではないか。あるいは、中立的立場にある体育委員会がより明快な姿勢を示すことはできぬものか。両者の技量がともに抜群なだけに、話はなるべく本題から逸らさないでもらいたいものだ。