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“無職男”河原純一、執念の復活。
~年俸600万円のポーカーフェイス~
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/07/15 12:10
河原の華麗なる復活の秘密は……開き直り!?
河原は7月14日現在まで、10回2/3を投げ自責点はわずかに1と安定した投球を続けている。10日には約4年ぶりの勝利も手にした。登板14試合ながら、チームでは浅尾拓也に次ぐ6ホールドポイントと、今や「勝利の方程式」の一角を任されるまでの信用を得た。
この活躍で感じるのは……河原はいい意味で開き直っているのではないだろうか? ということだ。
2度と戦力外通告を受けぬよう結果ばかりを焦って求めすぎ、本来の力を無意識のうちに封印してしまう。そういう選手は多い。彼にしても保守的な投球になってもおかしくはない。だが、絶頂期を彷彿とさせる、あのしなやかな腕の振りとボールの切れを見る分には、「俺には怖いものはない。昔の俺に戻ったんだ!」と、「完全復活」をアピールしたがっているようだ。河原純一には、そんな男であってほしい。
不況の真っ只中、ポーカーフェイスで戦い続ける男。
背番号60。これにちなんで決められたわけではないだろうが、無職も経験した男の年俸は600万円。世は不況の真っ只中。職に就けない理由を他人や国のせいにしたがる気持ちは分かる。ただ男なら、ポーカーフェイスを貫き、低賃金から這い上がるくらいの覚悟を持とう! 河原だって後半戦、チームの躍進に貢献すれば、来季の年俸はゼロがもうひとつ多くなる!! かもしれない。