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バルサを超えるバルサ。
~CL2連覇の可能性~ 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byMutsu Kawamori

posted2009/06/15 06:00

バルサを超えるバルサ。~CL2連覇の可能性~<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

マンUも果たせなかったチャンピオンズリーグ連覇の夢に、来季バルサは挑戦する。

予想外のタイミングで現れたバルサの「完成形」。

 史上最強と言われたマンUに完勝した決勝戦は、バルサが世の中に初めて見せた「完成形」だったのかもしれない。ふと「サグラダ・ファミリア」を思い出す。バルセロナ観光名所として知られる、アントニオ・ガウディによるこの巨大な作品は、いまだ建設途中にある。いつ完成するのか分からないところに夢を抱かせる。バルサのサッカーもそれにそっくりだった。完成すれば素晴らしいに決まっている作品を、拝めるのはいつなのか。

 バルサは、将来への期待を常に抱かせてくれるチームだった。世界中の多くの人が、完成品のお披露目を、ある意味で気長に待ちわびてきた。

 それはまさに意外なタイミングで目に飛び込んできた。苦戦覚悟で臨んだ一戦で、完璧な出来映えを披露したのだ。非の打ち所のないサッカーとはこのことである。'08-'09シーズンのバルサを超えるチームが、簡単に誕生するとは思えない。バルサそのものに対しても、これを2年続けられるかは怪しい。

CL連覇を賭けたバルサのサッカーはどう変わるのか?

 ディフェンディングチャンピオン。このフレーズほどバルサには似合わないものはない。精神的には「守備的」になりがちだからだ。そこで持ち前の攻撃性、エンタメ性を存分に発揮することは並大抵ではない。どこかにのんびりムードを感じる人間臭いチームが、真の強者に輝く姿は想像しにくい。

 '88-'90シーズンのミラン以降、2連覇はない。2連覇したチームこそが、真の強者として讃えられることになる。そしてバルサは来季、唯一その資格を持ってCLに臨む。勝利至上主義に陥ることを、頑なに拒んできたチームが。娯楽性と勝利をクルマの両輪のような関係で追求しなければならないと、自らに対し呪縛をかけてきたチームが。来季のバルサの立ち振る舞いに、とくと目を凝らしたい。

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